202510
5/8

””令和7年10月1日発行 「智慧」「慈悲」「空」などについて 何気ない日常に潜んでいる!?”不適切な保育“を見直して保育を楽しもう菊地奈津美先生第2日目 仏道てくてく名取芳彦先生 こどもの王国保育園西池袋園園長菊地先生は、公立保育園などで保育士としてキャリアを積み、現在はご自分で立ち上げた保育園を2園運営されています。「自分が新米の頃は、『いい子に育てよう』『早く一人前にならなくちゃ』と、一生懸命”不適切な“やり方をしていたなと今では思っています」。しかし、他の園の保育士たちとグループワークをする研修で「”脅し保育“してませんか?」と聞かれたことをきっかけに、「いい保育って何だろう」と考え始め、研修や勉強会に参加したり関連する本を読んだりするようになりました。「片づけができる子、ごめんねが言える子じゃなくて、もっと長い目で見て、そういうことができる大事だということに気がつきま大人“を育てることがかって〉あるいは〈テレビの角にぶつかって〉、そういうおまけがいろいろつくようになったのだそうです。「面白いですよね。忘れちゃったから、つくって楽しんじゃおうっていうことなのかな。そういうのが子どもの遊びのいいところですね」それから、替え歌をつくったり、遊び歌の動作をオリジナルで考えたり、受講生同士でペアワークを行いました。「歌うことが大好きな子どもをみんなで育てていけたらうれしいなと思います。ありがとうございました」 元結不動密蔵院住職真言宗豊山派布教研究所 所長「仏教というと、難しいとお考えになる人が多いかもしれません。私が今日お話しするのは『いつでもどんなことがあっても心穏やかでいたい』という人のための話です」。名取先生は現在に並ぶ本を書いて17年で57冊になり、そのうちの1冊は71刷でしかし、それらの本の中に「仏さまを信じなさい」ということは書かれていません。「かつて2500年前にお釈迦さまが、いつでもどんなことがあっても歳をとっても病気になっても死ぬことになっても裏切られても誰かが自分の悪口を言っても心穏やかでいたい人、『この指とーまれ』って指を立てたんです。以来、大勢の人がその指にとまってきました。私も確実にそのうちの一人です。仏教保育も、たぶんそこが土台になるのではないでしょうか。将来この子が心穏やかでいるためにはどうしたらいいんだろう。そのためにはやはり、皆さんが心穏やかでいるにはどうしたらいいかを考える必要があるだろうと思います」心穏やかでいることの反対は心が乱れるということであり、これを仏教では「苦」といいます。自分の都合通りにならないということです。苦を無くしたり少なくしたりするためには、都合や願いを叶える、叶うように努力するという方法があります。逆に、都合や願いそのものを無くしたり減らしたりするのが、仏教が説く方法です。「私は『仕方がない』『当たり前』は、魔法の言葉だと思っています。さらに仏教は、世の中がどうなっているのかが分からないと都合は引っ込められないだろうと考えました。そこでお釈迦さま以降のお坊さんたちは世の中ってどうなってるのと真理を追究しようとした。これが、皆さんが『仏教って難しい』と思われている哲学的な部分なんです」それから名取先生は、仏教の基本の「き」“として、「縁起」豊富なエピソードを交えて話されました。「智慧と慈悲の2本立てが心穏やかでいるための大きな柱。仏教は考える力(智慧)を使えと説き続けています。それから、全員から好かれることは不可能。じゃあ自分がみんなを好きになるしかない。誰をも好きになるにはどうしたらいいのか、ということが、実は仏教が説いている慈悲につながっていきます」誰かを批判する時に「みんな言ってるよ」という言葉を持ち出す子がいます。それでクラス全員、学校全部がそう言ってるような気がして学校に行けなくなる子は決して少なくありません。「私自身がこの言葉に悩まされていたちょうどその頃、『”みんな言ってる“の”みんな“は多くて3人のことである』とある人から聞きました。つくづく本当だと思いました。私の場合も、よくよく確認したら実際に言っていたのは3人だったんですね」最後に、「泥水をいっぱいに吸い込んだスポンジは、それ以上何をしてもきれいな水を吸うことはできません。心のスポンジをカラカラにしておく。それが誰とでもつき合うための大事な根幹になるだろうと思います」と話されました。名取先生は、お供物を入れてあった箱を切った厚紙にお地蔵さまの絵といろいろな言葉を手描きしたカード「段ボール地蔵」を、受講生へのお土産としてご提供くださいました。温かみあふれる手描きのカード(5)第 735 号50万部を超えているそうです。66歳。49歳の時から一般の書店

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る