「いのち」をキーワードに※機関紙『仏教保育』721号(令和6年8月号、P6)にも同じ2つの事例の要約が掲載されています。ご参照ください。① 天上天下唯我独尊(誰のいのちもかけ② 縁起思想(あらゆる生き物が生かし③ 諸行無常(全ての生き物はいつか必ず④ 涅槃寂静(せっかくこの世に生まれた具体的には、仏教を特徴づける教えとがえがない)合っている=諸法無我)死ぬ)のだから悔いのない生き方をしよう)こうした仏教の教えをこのまま伝え最後に、生命尊重の心を育むためのいのちの問題には答えが出せないこの対照的な行為がいつも行われているということです。例えば、人間は休まず呼吸し、吸う時は緊張して吐く時は力を抜きます。心臓の拍動も、ギュッと収縮して、血液を送り出しては戻ってくるという循環を1日に10万回も繰り返しています。また人間は交感神経と副交感神経のバランスを取ることで健康を保っています。いずれも緊張とリラックス。「二拍子のリズム」が非常に大事なんですね。日本では、大人も子どもも「努力、努力」と緊張しっぱなし。これがあまりにも行き過ぎて、虐待や保育現場での事件、あるいは不登校といったことにつながってしまうのではないでしょうか。どこかでリラックスすること、緊張とリラックスとのバランスが、いかに大事かを忘れてはいけないと思います。私は本務校に勤める傍ら鶴見大学でが、その際に仏教と保育を結びつける方法として「いのち」というキーワードを用いました。初めは学生たちに、「保育科でなぜ仏教について学ばなければならないんですか」と言われました。しかし、仏教は「いのちと向き合い、そのいのちをどう生きていくか」という実践の学問であること、保育は「いのちを守り育てていくこと」であり、いのちというキーワードでつながっている、ということを伝えていくと、学生の取り組みがどんどん前向きになっていきました。して、①〜④のようなお釈迦様が使われた言葉をもとにしながら、学生と仏教保育のあり方を考えてきました。ても、子どもには分かりません。今までお話ししてきたように、さまざまな活動の中で、遊びながら、「体験」を通して子ども自身が「感じたり考えたり気づいたり」すること。ここが大事なところだと思っています。活動例ということで、「いのちを大切にする心」が育っていると感じられるような子どもたちの姿が見られた保育場面の紹介です(『仏教保育のこころ』126頁〜参照)。本日の研修会のレジュメに事例が2つ紹介されていますので、ご覧ください※ 。とも多いけれども、大事なのは、子どもたちがいのちと向き合える環境をつくり、いのちについて考える場を提供していくことだと思います。新刊のご案内定価/500円(税・送料込)お申し込み/(公社)日本仏教保育協会本部事務局FAX.03-3431-1519 https://buppo.com/著者プロフィール『仏教保育のこころ ―食育・ことば・いのち』 佐藤達全 著 昨年12月8日、『仏教保育のこころ』と題し、これまでに『月刊 仏教保育カリキュラム』に掲載された食育・ことば・いのちをテーマにした佐藤達全先生の原稿を収録した書籍を発刊いたしました。本書が、仏教に学ぶ保育の原点を確認し、諸問題解決の一助となることを願っております。(3)第729号 曹洞宗常仙寺住職・育英短期大学名誉教授。鶴見大学仏教文化研究所客員研究員。社会福祉法人金陽会・星の光こども園理事長。42年間にわたり保育士養成に携わり、日仏保においては、平成7年から現在まで、『仏教保育カリキュラム』や『新 わかりやすい仏教保育総論』(令和5年10月発刊)などの執筆、研修会の講師を務める。令和5年3月、これまでの保育者養成と仏教保育の研究・実践および論文集『保育の原点としての仏教保育を考える』(上毛新聞社出版編集部)を刊行。第16回(平成22年/福岡大会)、第22回(令和6年/埼玉大会)持田賞受賞。令和7年4月1日発行17年間、仏教保育の講義を担当しました(公社)日本仏教保育協会が発行する保育教材
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