202501
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はじめに明けましておめでとうございます。本年も機関紙をはじめ、各処で仏教保育の魅力と限りない可能性を発信してまいります。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。さて、連載がしばらくお休みをしておりましたが、これまで、「夏期仏教保育講習会」という現在の日仏保の定款にあたります戦前の「仏教保育協会会則」に関して複数回にわたって見てきました。前回で会則の条文すべてに言及し終えたため、今回は、新たにはじめて開催された「仏教保育夏期講習会」についてお話しします。夏期講習会が直面した難題読者の皆様の中には、タイトルを見て、違和感を抱かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。現在、日仏保では毎年、同様の講習会が行われていて、今年度は7月22日(月)に大本山増上寺の光摂殿講堂にて開催された「夏期仏教保育講習会」のことですが、戦前と戦後とでは正式名称が異なっているからです。1929(昭和4)年7月に始まった「仏教保育夏期講習会」は、戦前においても、現在と同様に、毎年7月に開催されていました。戦後になると、戦前とは異なる名称に変わっても、戦前の「第1回仏教保育夏期講習会」からの継続開催数を冠していて、2024(令和6)年7月22日(月)開催の講習会で90回目を迎えました。仏教保育協会の創立期から毎年7月に変わらず開催されてきた仏教保育夏期講習会ですが、今日に至るまで、ある2度の困難に直面して、6回もの講習会を実施でき佐藤成道仏教保育夏期講習会」―《日仏保の歩み㉑》―戦前編「第1回 淑徳大学アジア国際社会福祉研究所リサーチ・フェロー/曹洞宗常仙寺副住職「言論・出版・集会・結社等臨時「第16回仏教保育夏期講習会」(昭和18)年以来、止まっていたなかった年度が存在するのです。それが、太平洋戦争と新型コロナウイルス感染症です。前者は、太平洋戦争下における取締法」などによる公私行事の停止の影響から、1929(昭和4)年から毎年、継続して開催していた仏教保育夏期講習会が、1943(昭和18)年7月の第15回の開催を最後に中止されました。1944(昭和19)年度から仏教保育夏期講習会をはじめとした諸行事が中止され、仏教保育協会の活動が停止したとされる、いわゆる「暗黒時代」といえる期間が戦前から戦後にかけて、4年もの間続いたのです。そして、太平洋戦争の終結後、1948(昭和23)年7月になって、が再開されたことで、1943講習会の継続開催数も再開され、仏教保育協会が再始動したのです。仏教保育協会が、本格的に活動をはじめた1929(昭和4)年をもって「発足」とする象徴として「第1回仏教保育夏期講習会」(昭和4)年7月に5日間にわたっが位置付けられていますが、奇しくも戦後における仏教保育協会の発足も、仏教保育夏期講習会だったのです。その後、2019(令和元)年の「第87回 夏期仏教保育講習会」まで、70年以上にわたって毎年継続的に開催され、中止されたことは一度もありませんでした。しかし、後者の新型コロナウイルス感染症の影響により、2020(令和2)年と2021(令和3)年のいずれの「第88回夏期仏教保育講習会」も2回分が中止され、両年とも「仏教保育研修会」としてオンラインにて別途開催されました。そして、2022(令和4)年7月21日~22日には、ようやく夏期仏教保育講習会が再開され、2020(令和2)年から持ち越されていた実施回数の「第88回」を冠した講習会として、3年ぶりに開催されました。私たちは、まさに仏教保育の歴史に残る容易ならざる時代に立ち会っているのです。はじまりの仏教保育夏期講習会ところで、はじまりとして重要な仏教保育夏期講習会について、わかっていることは多くありません。戦前の筆録によれば、1929て、当時の東京市小石川区大塚仲町(現在の文京区大塚)にあった大塚隣保館にて、全国から130名以上もの会員が参加して開催されたのですが、具体的な日程や内容までは明らかではありません。ただ、日程に関しては、2日間にわたる現在の講習会とは期間が異なり、戦前においては、5日間の開催が恒例で、これ以降の仏教保育夏期講習会が、7月を基本としていたことから、最初の講習会も同期間に実施されていたと考えられます。また、講習会の内容もほとんど明らかではありませんが、仏教保育協会の主事や機関誌『仏教保育』の編集責任者などを務めた関岡賢一が、戦後、はじまりの仏教保育夏期講習会について、次のように振り返っています。幸い各宗関係者の絶大な賛成を得て結成されたのが昭和4年であった。時恰かも天皇御即位式大典の年に当っていたので、御大典記念事業として、その年の7月の末、第1回の全国仏教保育夏期講習会を兼ねて、当時の東京市立大塚隣保館講堂で創立発会式を行った。集った会員は北は北海道、樺太、南は九州、沖縄はおろか上海、朝鮮台湾、大連方面から令和7年1月1日発行      第726号(2)27日~31日という日程での開催

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