「もう1人、保育士を」※ 本記事は、6/17実施の仏教保育研修会における、保育システム研究所代表・吉田正幸氏のお話を基に作成しました。今年度から保育士配置基準が変更されました。4・5歳児については30対1(保育士1人に対し子ども30人)から基準を改善。4・5歳児の配置基準は、制定から75年間変わっていませんでした。愛知から始まった保育者や保護者による「子どもたちにもう1人保育士を!」の運動など、さまざまな取り組みや働きかけが今回の改善の実現につながったのでしょう。しかし、この改正には経過措置が設けられています。当面の間、これまでの基準で運営しても差し支えありません。この経過措置の期限は、いまのところ未定です。そして、改善後の新たな基準で保育士を配置する私立施設には、公定価格上の加算措置「4・5歳児配置改善加算」が設けられています。これまでの基準で運営した場合との差額に相当する分が加算されるというものです。ただし、すでにチーム保育加算を受けている場合は対象外となってしまいます。このため、この加算を受けられるのは保育園のごく一部と考えられ、全体として恩恵はあまり大きくないと言わざるを得ないでしょう。いわゆる「次元の異なる少子化対策」が進められていますが、この財源は保育現場に注入するのが目的ではなく、主として親への現金給付に充てられます。もともと保育改善のための財源が潤沢ではないのです。なお、1歳児についても6対1から5対1への改善が検討されていましたが、今回ではなく2025年度以降に見送られました。依然として国の基準に対して実際の保育現場に配置されている保育士数のほうがずっと多いといわれています。今後も更なる基準の改善が求められています。2024年8月8日16時43分ごろ、日向灘を震源とするマグニチュード7・1の地震が発生しました。地震が発生し、津波への注意が呼びかけられるのは、地震大国といわれる日本では率直に言って特別珍しいことではなくなってきました。ただ、今回はその後も活発な地震活動が続いたことから、南海トラフ地震の想定震源域での大規模地震への注意を促す臨時情報が発表され、特別な注意が1週間、15日まで呼びかけられました。お盆の時期と重なったことで帰省や旅行を控えたり、大地震がいつ起こるか分からない不安から非常食が品薄になったりと全国に影響が広がりました。新米が出回る直前の時期でもあり、都市部をはじめ、新潟や秋田といった米どころでも米が売り切れ、手に入らない事態になりました。近年、地震や大型台風、豪雨などの自然災害が後を絶ちません。各園で事業継続計画(BCP)などの作成をしていると思いますが、計画を作っただけでは非常事態の発生時にうまく機能しません。十分な備えがあっても、大人でも右往左往し、正常な判断ができないことがあります。テレビやネットからおぼろげながらでも情報を受け取れる年長の園児が必要以上に不安を感じているかもしれません。自ら行動できない乳幼児をはじめ、全てのいのちを守らなければならない保育の現場では、多岐にわたって準備や訓練を進め、いざという時の心構えを一人ひとりが持つことが大切だと自戒を込めて伝えたいと思います。 (桑田)事務局会議(WEB会議)教材開発委員会第723号(8)25対1に、3歳児については20対1から15対1に最低事務局日誌9/9 「仏カリ」「仏教保育」編集会議
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