記念講演 「 彩の国の童謡世界を音楽で奏でる」 ジャズシンガー下總佐代子氏下總皖一の第19回大会以来、2回目の開催となります。現在、日本は『少子社会』を迎えています。少子化といわれる時期は過ぎ、すでに少子社会になっているということのようです。この大きな課題に対し、安心して子どもを産み、そして育てることのできる社会となることが求められています。そのような情勢のなか、子ども支援の充実を目指して、昨年4月にこども家庭庁が発足し、保育の現場でもさまざまな対応が迫られています。『こころ・子ども・いのち』をテーマとする本大会が、生命尊重の保育理念を見つめ直し、これからの仏教保育のあり方を考える機会となることを期待しています。実行委員会の先生方においては、大変な労力をかけて開催準備を進めてくださいました。この埼玉大会が皆様にとって有意義な大会となりますことを願っております」また、田中雪心大会実行委員長(日本仏教保育協会副理事長)は、「埼玉大会がついに開催となりました。ご多用のなか、たくさんの皆様にご参加いただき、感謝申し上げます。子どもたちが輝く未来に向けて、改めて考え、共有し合える場となるよう力を尽くしたいと思います」と、歓迎の言葉を述べました。次に、全国大会表彰が行われました。「持田賞」は、育英短期大学名誉教授・鶴見大学仏教文化研究所客員研究員の佐藤達全氏と、大阪公立大学現代システム科学域教育福祉学類准教授の吉田直哉氏の2名に授与されました(紹介は5ページに掲載)。なお、「古屋賞」の該当はありませんでした。また、「仏教保育精励賞」が、倉持秀裕埼玉県佛教保育協会顧問・(一財)埼玉県佛教会会長に贈られました。次いで、永年勤続の表彰がありました。続いて、ご来賓を代表して、清水勇人さいたま市長の祝辞が代読され、また、(公財)全日本仏教会佐藤義尚副会長より祝辞を賜りました。「ご開催おめでとうございます。今年1月に能登で大地震が起こりました。実は一昨日、現地に行って状況を確認しまして、まだまだ水道も下水も直っていないというのが現実です。子どもたちの様子を先生方に聞きますと、1日1日笑顔がなくなっていくなかでも、『おかげさま』という感謝の気持ちが分かるようになったとのことです。まさに仏様の心ではなかろうかと思っております。この2日間、学びを深めていただいて、子どもたちのいのち、こころ、そして主体性を育む保育の実現を図っていただければと思います」そして、ご来賓の紹介、祝電披露に続いて、仏教保育三綱領を唱和しました。続いて、大会主催の埼玉支部に対し、髙山理事長より感謝状の授与と支部旗贈呈が行われ、田中大会実行委員長が受け取りました。次いで、全員起立して『仏教保育の歌』を会場一体となって歌い上げました。最後に、丹羽義昭埼玉県佛教保育協会会長・日本仏教保育協会常任理事より「大会宣言」が高らかに読み上げられ、満場の拍手で採択されました。閉会の言葉により、第37回全国仏教保育埼玉大会開会式は終了となりました。下總佐代子氏は、童謡『たなばたさま』を作曲したことでも知られる埼玉県出身の作曲家・下總皖一の初孫として生まれました。子育てが一段落した40代からヴォーカリストとしてのさまざまな指導を受け、前マスターから引き継いだジャズバーで多くのミュージシャンに出会いながら、CDアルバムもリリースしています。まずは、下總皖一の生涯をまとめた映像が舞台上のスクリーンに映し出されました。下總皖一は、明治31年に埼玉県大利根町(現在の加須市)に生まれました。県の北東部に位置し、利根川の水流の恵みを受けた自然あふれる田園地帯です。14歳まで過ごしたこの故郷が下總皖一の原風景であり、またその後、尋常高等小学校高等科時代に出会ったベビーオルガンが音楽人生の始まりになったといいます。埼玉師範学校を経て、大正6年、東京音楽学校(現在の東京藝術大学音楽部)に入学。大正9年に音楽教師となり、翌年に結婚、本格的に作曲に取り組むようになります。昭和7年、文部省在外研究員として作曲法研究のためドイツのベルリンに留学。国費留学生として2年を過ごし、帰国後、東京音楽学校講師、そして助教授に。昭和29年、初孫の佐代子が誕生。東京藝術大学音楽部長、東京国立文化財研究所芸能部長田中雪心大会実行委員長仏教保育精励賞授与支部旗贈呈感謝状授与(公財)全日本仏教会佐藤義尚副会長第723号(2)
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