日本の子どもの歌「童謡」 7月1日は「童謡の日」。1918(大正7)年7月1日に、多くの名作童話・童謡を生み出した児童文芸誌『赤い鳥』が創刊されたことに由来します。広島出身の児童文学者・鈴木三重吉は、35歳の時、この雑誌を創刊。それまでの教訓的な説話や唱歌に対し、「子どもの純性を保全開発する」ことをモットーとして掲げました。当時活躍していた数多くの作家・詩人らが共鳴して展開された赤い鳥運動は、その後の児童文学・音楽に大きな影響を及ぼしています。こうして日本の風土・伝統や童心を大切にする新しい子どもの歌として生まれた音楽が「童謡」です。『赤い鳥』に続く雑誌も相次いで創刊され、北原白秋、西條八十、野口雨情、三木露風といった著名な詩人が次々と誌上で作品を発表。さらに、東京音楽学校(現・東京藝術大学)で学んだ作曲家らの楽曲によって、鈴木三重吉が志した童謡の世界は本格化していきました。それらの一人である埼玉県出身の作曲家・下しも総おさ皖かん一いちは、1200曲以上の童謡や唱歌、校歌、仏教讃歌などを残しました。童謡では「たなばたさま」「はなび」「ゆうやけこやけ」などの曲で今も広く親しまれています。さて、7月25日(木)・26日(金)に開催が迫る「第37回全国仏教保育埼玉大会」では、埼玉県にゆかりのあるさまざまなゲストが登場します。その一つとして開会式に続いて行われるのは、ジャズシンガー・下総佐代子氏による「彩の国の童謡・下総皖一の世界」と題した記念講演。平成30年には童謡の誕生から100周年を迎えました。長きにわたって子どもたちに歌い継がれてきた童謡の世界を、皖一氏の孫である佐代子氏がジャズのリズムに乗せてどう表現されるのか、とても楽しみな企画です。「にわのシャベルが ひとつ……」。子どもも大人も大好きな名曲『にじ(新沢としひこ詞/中川ひろたか曲)』。雨上がりの青い空に虹がかかる、その嬉しさをシンプルに表現した素晴らしい歌です。雨上がりの何とも言えない冷気に鼻がくすぐられてクシャミが出る感じ、6月から7月初旬くらいの雨かな……と想像してしまいます。この歌のように「雨」「青空」「虹」「晴れ晴れ」……こんな展開ばかりではないのが最近の雨。線状降水帯とかゲリラ豪雨なんて言葉が日常にたくさん飛び出し、雨のイメージが変わったと感じるのは私だけでしょうか。最近の雨の降り方はすごい。登園する子どもたちも長靴、レインコート、傘とフル装備ですが、道路に跳ね返る雨の強さで膝まで濡れます。ママたちはレインポンチョでアシスト自転車に子どもを乗せて、フードから滴る雨に耐えています。少し危ないけど、それが「足」。雨グッズも進化しているそうなので、少しでも快適になるといいですね。令和元年、台風19号の豪雨は大きな水害となり、多摩川近辺の在園児のおうちが床上浸水しました。駆け付けてみると、冷蔵庫とタンスが水に浮いていた光景、泥を掻き出す人たち、壁にくっきりと残る水のライン、忘れられません。避難所にも一万人が避難し、満員の避難所もあったと聞きました。そして今年の元日に続き、6月3日の朝には再び能登で震度5の地震が発生。「やりきれない……」TV取材でつぶやくお年寄りの疲れた表情がなんとも辛いです。豪雨が来たらどこで何が起こるのか。立っていられないほどの地震が来たらどうするのか。その後の避難や心づもりは……。もう我が事として考えておかねば、このお年寄りの心に応えられません。防災川柳一句。「ままごとで防災訓練6/11 「仏カリ」「仏教保育」編集会議・事務局会議6/17 第13回定時社員総会・第1回仏教保育研修会一日ぬれて してる孫」。そういう時代、そういう現実です。 (五島)雨があがって くしゃみを 第720号(8)事務局日誌
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