世界の気候変動対策「COP28」昨年末、11月30日〜12月13日の期間にUAE(アラブ首長国連邦)のドバイで「COP28」が開催されました。COPとは、1992年に採択された国際条約「気候変動枠組条約」の締約国会議のこと。現在198の国と地域が参加しています。ほぼ毎年開催され、1997年開催のCOP3では「京都議定書」を採択、2015年開催のCOP21では「パリ協定」を採択しました。世界の気候変動対策は、京都議定書によって先進国に温室効果ガスの削減が義務づけられ、パリ協定によって発展途上国を含む全ての国が削減に取り組むこととなったのです。そして、今回のCOP28では、世界全体の気候変動対策の進捗状況を5年に一度評価する仕組み「グローバル・ストックテイク」が初めて実施される点が注目されました。「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える」というパリ協定の目標達成に向けた進捗の評価です。しかし、国連の報告によれば、世界の温室効果ガスの排出量は2022年の574億トンが過去最多なのだとか……。また今回、COP初の子どもたちのための会議が開催されました。若者が発言の場を持つことで、子どもたちが初めてCOPのプロセスに直接関与したことになります。この会議で各国が採択した合意文書は「化石燃料からの脱却」を進めるとしています。これによって、石炭だけでなく石油や天然ガスといった全ての化石燃料を対象に脱却を目指すこととなりました。なお、この文書の中には、子どもと気候変動に関する専門家対話(expert 気候変動が子どもに与える影響や解決策について議論することも記されました。今回の合意を受けて、各国は遅くとも2025年までに新たな削減目標を提出することになっています。dialogue)を開催し、4月を迎え新年度が始まります。子どもたちから目が離せない新しい環境の中で、入園進級式、花まつりなどの行事も続き、多忙な毎日がスタートすることと思います。ある保育士から3歳児の担任として迎えた2日目、「泣き叫ぶ子や動き回り落ち着かない子、持ち物を投げる子がいたりなくしものがあったりして、途方に暮れた」と聞いたことがあります。中にはとても落ち着いて手のかからない子もいることでしょう。子どもたちはみんな、一生懸命に園生活に取り組んでいます。慣れない環境で初対面の子どもたちの保育をスムーズに行うには、多くの苦労があって当たり前だと思います。4月からこども家庭庁が推進する「こども誰でも通園制度」が全国の自治体で試行されます。親の就労に関わりなく未就園児を一定時間預かる制度で、令和8年度から全ての自治体で実施する方針です。親以外の大人が経年で子どもの成長を見守り、同じ月齢の子ども同士で過ごす機会は重要だと思うものの、新年度の慌ただしさを思うと、課題も感じます。制度には核家族化が進みストレスを感じやすい親の育児負担や孤立感の解消への期待もかかります。虐待防止をはじめ、子どもの小さなサインに気付き、保護者と保育者が一体となって子どもの育ちに関われるような制度設計が必要です。大人の都合でただ預けるのではなく、子どもにとってより良い環境になっているのか、目的に立ち返りながら運用できる施策となるよう願っています。3/6 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(桑田)第717号(8)事務局日誌
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