-第710号-こども家庭庁と少子化の現状今年4月に発足した「こども家庭庁」の成育局長を拝命しております藤原と申します。こども政策の強化の方針を決定すべく、政府全体で最終的な調整をしているところであり、本日は、まず最近の保育や幼児教育をめぐるトピックス的なことをご紹介し、それから最終段階の方針案についてお話しさせていただきます。最初に人口減少の状況ですが、2022年の統計で出生数80万人を割り込む見込みです。80万人を割り込むのは2030年と予測されていましたので、8年ほど前倒しで少子化が進んでいるという危機的な状況になります。それにも関わらず、スウェーデンやフランスといった出生率が比較的回復したといわれる国に比べ、日本はまだ低い水準にありまは「自分の国が子どもを産み育てやすい、子どもにやさしい」と思う人が大半を占めるのに対し、日本は「そう思わない」と答える率が高く、対照的です。子ども・子育てにあたたかい社会になっていくことも重要な視点になっているかなと思います。それから、よくいわれる「第2子の壁」。子育てには、保育所のお迎えや夕食、入浴、寝かしつけという負担感の高い育児が夕方以降あるわけですが、こういった時間に夫が帰ってこないと、ワンオペの状況で妻が頑張らざるをえないということに。夫の協力が得やすいかどうかで「理想の子ども数」を持てるかどうかに差が出てくるということも調査に表れています。このように少子化は非常に厳しい状況です。そうした中、こども政策の強化についての踏み込んだ議論が今まさに進められているわけです。ご説明したような状況の中で、この4月に「こども家庭庁」が発足しました。まず組織体制ですが、「長官官房・成育局・支援局」という1官房2局、これらの内部部局員350名でスタート。母体となる内閣府「子ども・子育て本部」と厚生労働省「子ども家庭局」に官房の機能を加えて、このような体制になっています。したがって官房は「横串をさす」もので、「こども大綱」を作ったり、子どもの意見聴取を行ったりという、こども基本法に基づく様々な施策を担当しているところになります。私が所属する「成育局」は、保育や母子保健といったユニバーサルな支援の施策を担当し、一方、「支援局」はスペシャルニーズ、虐待や社会的養護、子どもの貧困、ひとり親といった、特に支援が必要なお子さんの支援を担当します。成育局の下にはいくつかの課がありますが、特に「保育政策課」と「成育基盤企画課」が保育関係の担当課になります。保育政策課は待機児童対策や公定価格などを、成育基盤企画課は「保育所保育指針」や「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」、保育士資格などを所管。前者は規制やお金、後者は質の部分を見ており、この2課は一心同体で仕事をしています。なお、幼児教育・保育については、幼稚園・保育所・認定こども9 「こども家庭庁がめざす講 こ師 れこかどもら家の庭庁子成育育局て長 について」令和5年度第1回仏教保育研修会 令和5年6月12日/大本山増上寺光摂殿講堂藤原朋子氏こども家庭庁成育局長(1)第710号藤原朋子氏のす。家ま族た関、係そのれ社ら会の支国出で令和5年9月1日発行2023.September
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