202308
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若者の心に広がる「気候不安」WHOのポリシーブリーフは、「メンタルヘルスを守るた地球環境の悪化に対する強い危機感により、無気力など「気候不安」の状態に陥る若者の増加が懸念されています。欧米を中心に、気候変動の影響で心を病む若者たちのことが問題視されるようになり、イギリスのバース大学などの研究機関が調査を進めてきました。同大学では、2021年に10か国の16〜25歳を対象とした国際調査を実施。この調査では、過半数が気候変動に対し、不安、怒り、罪悪感、無力感を覚えているという結果が報告されています。翌年6月には、国連人間環境会議50周年を記念した「ストックホルム+50会議」において、WHOの新しい包括的な政策提言として、ポリシーブリーフ「メンタルヘルスと気候変動」が発表されました。この中で、「気候変動はメンタルヘルスとウエルビーイングに深刻なリスクをもたらす」とされています。これは同年2月に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が出した報告書の見解とも一致しており、こうした認識は世界中に広まりつつあります。 「気候不安症」や「エコ不安症」といった名称で各メディアでも取り上げられ、気候変動への慢性的な恐怖心から将来に不安をもち、「子どもをもつことに肯定感を抱けない若者」も多いようです。前出の調査では、回答者の39%が該当します。台風被害の多いフィリピンなどアジアでも気候不安に注目する研究者が増え、日本でも今年に入って、より幅広い年齢層での調査などが始まっています。日本では昨年の出生率が1・26で過去最低となったことを考えても、若年層に深刻な影響が出ることは避けなければなりません。め、行動するのは今」だと結論づけています。 「不適切保育」という言葉をよく耳にするようになり、保育に関する報道が後を絶たない状況を危惧しています。子どもと保護者はもちろん、将来共子育てをしたいと考える若い世代にも、不安を抱かせてしまいかねません。保育のあり方はこれまでに何度も見直しが重ねられてきました。さかのぼれば平成10年、保育園の入所定員の「弾力化」として、待機児童が多い自治体で定員を超えて子どもを預かることが認められ、非常勤保育士の配置も可能となりました。平成12年に株式会社による認可保育園の設置が認められ、共働き世帯の増加で保育園不足が社会的に認知される中、加速的に多くの企業が参入しました。これらは待機児童を減らすという意味では効果があった一方、園が増加したことで保育士の確保は深刻な問題となりました。人材確保を短期的に急いだ結果、経験の浅い保育士が多く、職場の管理体制が不十分になるケースもあったのではないでしょうか。保育園等での重大事故の背景には、現場のヒューマンエラーだけで済まされない問題もあると思えてなりません。近年は、少子化の影響により各園で定員割れが始まりました。必要な職員数が確保できていても、子どもが様々な経験を積める園行事の運営に支障があったり、日頃の保育の質が低下したりということも懸念されます。自園の課題を確認し、充実した保育環境を次の世代につなげることが重要であると実感します。7/3   「仏カリ」「仏教保育」編集会議      事務局会議(WEB会議)7/24・25 夏期仏教保育講習会(桑田)事務局日誌令和5年8月1日発行        第709号(8)

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