京都でも学生の減少で募集枠がだんだん小さくなっています。本学では学生のほとんどがAO試験で入学します。また、就職率は95%ぐらいです。私は仏教音楽研究所などで25年ぐらい仏教音楽に携わっており、養成校でも音楽の教員として学生に接しています。コロナ禍においては、私の場合はピアノの実技レッスンなので、半年間、全く授業ができませんでした。次の年には、京都府からの支援金でキーボード80台を購入し、遠隔でもレッスンを行うことができました。対面授業になったいまもキーボードを持っていない学生に貸し出しできるという恩恵がありますね。実習中に就職の声がけをされる園がありますが、最終日に「よくがんばっていたね」と求人票をもらえるのは、学生にとっても大変励みになると思います。いま不適切保育が話題になっていますが、実習中、学生が不適切な保育を目の当たりにしてしまうことがあります。私の研究では、施設の種別に関わりなく、約1割の学生が実習先でそういった場面に直面しています。これは、ガイドラインと照らし合わせて学生が自分で検証するというかたちでデータをとっていますので、各学生の眼差しが適切かどうかを考える必要はありますが……。養成校も施設も、この問題をきちんと受け止めて、注意し合い、減らしていく努力を続けていくことが大切でしょう。いまが過渡期だといえるのかもしれません。本学は、1学年100名の4年制です。保育の単科大学ですので、卒業後は9割以上が保育者になっています。毎年5〜6%が一般企業への就職です。今年度も1学年90人ほどの中で6人が一般企業に就職しました。1・2年生の時に退学して進路を変える学生も一定数います。実習と就職は分けて考える必要がありますが、実習先への就職は、私にとしては安心できるマッチングです。実習の間、互いにじっくり見てきたうえで、最終的に就職の話をするのであれば、ミスマッチは起こりにくいと思いますので。本学は定員50名。数年前までは70名でしたが、減少して定員数を変え、いまは40何名かで推移しております。基本的には、学校推薦の枠の中で9割以上とっています。学生の資質を高める取り組みとして、本学では「体験的な学び」を大切にしています。例えば、入学してすぐの6月ぐらいに数日間、認定子ども園で体験的な実習をします。自ら課題を見出してから授業を受けることで、より学びが深まるでしょう。要所要所でそういった体験的な学びを入れることで、授業の振り返りができたり、学びを深めたりできるような流れをつくっています。保育士養成を始めたのは10年以上前ですが、もとは現場の保育士として働いていました。実習園との連携がとても重要だと感じています。実習した園の様子は実際に見ていますから、結果的に就職につながるのも学生にとってはいいことですね。やはり保育士は、人間関係が離職の一番の理由になっていると思いますので。実習日誌について、手順書みたいなものを事細かく書いている学生もいますが、保育の環境構成や、保育士がどんな配慮をしているか、といったところを中心に書き残すようにしてほしいと思います。次の実習につながるように書くことが大切です。わってきて、学生の質がだいぶ変わってきたと感じています。「成長過程における友達同士の遊びが少ない」とか「実生活の中で子どもとふれあう機会がない」といったことも関係があるでしょう。実習に行って初めて子どもとふれあった学生すらいました。園の子どもたちは楽しみにしていて、初日に玄関まで駆け寄ってきて「おはようございます!」と声をかけましたが、その学生は直立不動で立ち尽くして声も出ませんでした。もう10年以上前のことです。以降、幼稚園・保育園それぞれ3〜5日ぐらい、実習園で子どもとふれあう「プレ実習」のようなことを続けています。スムーズに実習に入り、できるだけ初日から積極的に動けるように。加えて、5年ほど前から、年度末に実習園の先生方、養成校の教員、学生が集まって情報交換会をしています。いまの学生は非常にナイーブなところがありますから、そうやって考えを聞き出していくことで、しだいに齟齬がなくなっていくのかなと思っています。学生や卒業生が、実習中に不適切な保育があったと言ってくることは確かにあります。私も実際、食べるのが遅い子を1人だけクラスに残しているところを見かけたことがありますが、これ清水将之先生こども教育宝仙大学吾妻 昇様函館大谷短期大学藤村 敦先生令和5年5月1日発行淑徳大学短期大学部育英短期大学佐藤逹全先生40年ぐらい保育者養成に関 第706号(2)華頂短期大学小川隆昭先生京都華頂大学吉島紀江先生
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