安藤文隆わえ令和5年2月14日から15日に第43回真言宗保育合同園長設置者研修会が開催されました。コロナ禍により三年ぶりの実施となりました。当研修会は、真言宗五派の保育機関で構成されるもので、智山保育連合会、真言宗大覚寺派保育連盟、真言宗御室派福祉連盟、高野山真言宗保育連盟、真言宗豊山派保育連合会が毎年持ちまわりでお大師様の教えを基に研修内容を企画し実施しています。本年度は当連合会が真言宗豊山派の総本山長谷寺(奈良県桜井市)で執行される「だだおし」参拝を主な内容として行いました。開会式を橿原ロイヤルホテルにて行い、真言宗豊山派宗務総長鈴木常英先生をはじめ(公社)日本仏教保育協会理事長髙山久照先生、智山保育連合会会長中村信成先生、真言宗御室派福祉連盟会長浅田真裕先生、高野山真言宗保育連盟理事長山本文雄先生、真言宗大覚寺派保育連盟会長坂口慈孝先生、そして各派の幼稚園と保育園の園長・主任・先生方のご参加で総勢51名が顔を合わせました。般若心経のお唱えに続いて真言宗豊山派保育連合会会長安藤文隆より弘法大師御生誕千二百五十年の当年に長谷寺に参拝することの意義深さと歓迎真言宗豊山派保育連合会会長 『だだおし』とは修二会の最の言葉を。続いて豊山派宗務総長鈴木常英先生より保育に携わる先生方への感謝の言葉と長谷寺の「だだおし」についての解説をいただき、期待に膨らむ皆様のようすを垣間見ることができました。そして、日本仏教保育協会理事長髙山久照先生より昨今の世界情勢に心を痛める中でいかに平和な世の中が大切であるか、また、コロナ禍における保育の難しさを感じる中でも、子供たちが生き生きと暮らせるよう「仏教保育」を礎として推進しましょうと、励ましの言葉をいただきました。曇りがちの空模様に日が差しはじめた午後3時、バスに分乗し長谷寺に向かいました。仁王門から399段の登廊を上り本堂に到着。保育連合様と表記された内舞台に着席し、間近で内陣での様子をうかがうことができました。終日に行われる鬼払いの儀式のことで、開山の徳道上人が閻魔大王より授かったとされる「檀だ拏印」を押印し、法力を宿した「牛ご玉札」の力で大松明を持った赤鬼、青鬼、緑鬼を退散させる行事です。東大寺二月堂のお水取りの「おたいまつ」とともに大和における代表的な火祭りとなっています。本堂内陣では職衆が本尊十一面観音菩薩の御前で人々の罪を懺悔する法要に始まり、宝珠と宝印が封印を解かれ本尊正面に供えられるなど幾多の所作を経て、堂内の参拝者は額と牛玉札に宝印の加持を授受しました。我々合同保育の参加者もひとりずつ緊張の面持ちで加持を受けることができました。あたりも暗くなった頃、太鼓・法螺貝が激しく鳴り響き、赤・青・緑色の三鬼が現れ金棒を振り回し暴れまわる。その時僧侶たちが楉すと牛玉札の威力で鬼を堂外に追い出し、追われた鬼は大松明を担ぎ本堂の周りを練り歩く、という迫力あふれる「だだおし」のクライマックスです。堂内外は多くの参拝者であふれ、「悪魔退散」「無病息災」を願い、粛々とした中に力強さと清々しさを感じるひと時でした。その後、ホテルへ戻り懇親会が開かれ、その際にも皆様から「だだおし」参拝に対する感動と感謝の言葉をいただきました。世の中には様々な災いがありますが、戦禍や危機等の人災には我々の智慧を持って臨み解決に結びつけ、天災に対しては力を合わせて復旧に取り組む等々、日頃の保育を通じて子供たちに伝えるべき事柄がたくさんあることを再認識した研修会となりました。最後に、皆様のご参集に深く感謝申し上げます。第43回真言宗保育合同園長設置者研修会を終えて本堂内陣での法要の様子長さ約4.5m、重さ約120kgの大松明令和5年4月1日発行 だいんふだおうん 第705号(4)
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