※世界年間出生数1億4千万人(出典:ユニセフ世界子ども白書2021)よりJICA推計(桑田)新年を迎え、政治家が少子化への危機感を表明する姿が相次いでいます。岸田総理は年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と述べ、同じ日には小池都知事が「チルドレンファースト」を掲げました。少子化対策が政策の目玉として語られる状況に、昨年の年間出生数が初めて80万人を割り込んだことへの焦燥感が強く感じられます。東京都は2023年度当初予算案で少子化対策に1兆6000億円を投じる方針を示し、18歳以下の子どもに月5千円を給付する事業や第2子保育料の2歳までの完全無償化の実現を盛り込みました。こうした中でも、毎日来園する家庭の様子を見ると、2、3人と複数の子どもを育てる家庭が少なくないことに気付かされます。先日、都内のほかの園長先生たちと話をしましたが、同じ認識を持っていることが分かりました。今の社会では、子育て世帯が第二子を考えることよりも、既婚、未婚の若い世代が子育てをしたいと思うことへのハードルが高くなっているのかもしれません。少子化をくい止めるためには親になった大人が子育てをして良かったと思える環境づくりが欠かせません。しかし同時に、投じられる予算を使ってどう保育の質を向上させたのか、信頼できる園運営ができているのかを示し、子育てを将来の選択肢に入れてもらえるよう安心感を社会に与える必要があることも、私たちは忘れてはならないと思います。2/6 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)2/9 関西地区連絡協議会2/21 養成機関連絡協議会日本の母子保健では欠かせない存在となっている「母子手帳」。でも世界で母子手帳を使っているのは、約50の国と地域。これは世界で生まれる赤ちゃんと母親のうち※16%に当たるそうです。母子手帳は日本の発明品。日本で生まれて世界に広まっているものの1つとして知られています。日本はJICA(独立行政法人国際協力機構)を通して、ユニセフやWHOなどと協力し、開発途上国における母子手帳の開発や導入の支援を行ってきました。それにより、例えばインドネシアは1997年に導入を開始し、国中に定着した今では、さらに他国の母子手帳導入を支援しています。母子手帳は、妊娠中・出産時の母子の状態や、子どもの成長・健康状況を記録するための冊子です。その特徴は、①母子の記録を1つの手帳にまとめて記載、②保護者が手元に保管、③育児書としての側面などです。予防接種や健診、成長の様子などが1冊にまとめられているので、「継続的なケア」が可能になり、問題の早期発見にも役立ちます。日本では、1947年に成立した児童福祉法に基づいて、保健所を中心とした母子衛生行政を推進。その一環として妊産婦と小児それぞれに交付されていた手帳が統合され、翌1948年に母子手帳が生まれました(1965年制定の母子保健法に基づき「母子健康手帳」に名称を変更)。日本で生まれた母子手帳ですが、導入国ごとに仕様は異なります。例えば、母親と父親それぞれの手帳があるところや、電子母子手帳を使っているところも。母子手帳国際会議など、そうした情報の共有を図る場もあります。母子の命と健康を守る大切な母子手帳。海外では、「命のパスポート」とも呼ばれているそうです。「母子手帳」は命のパスポート 令和5年3月1日発行事務局日誌第704号(8)
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