﹁ヤングケアラー﹂を知ろう編集後記 ︵五島︶東京でも一昨年くらいから幼稚園の定員割れが顕著になり始め、こども園や保育所ですら、0歳の定員が埋まらないという話まで聞こえている。3歳〜5歳は推して知るべしである。あの待機児騒動はどこへ行ったのか。各地域では色々なニーズ調査に基づき各地域の子ども子育て会議で、需要と供給が審議され、最終的に1〜3号の供給数がはじき出される。定員が割れているというのは、待機児解消にやっきになった区市町村が、人口動態などのデータを見誤り、供給過剰の想定になってしまった一面があるのではないだろうか。コロナ渦による人口移動、テレワークの普及による在宅行動へのシフト、加えて日本の少子化の深刻さ。なにをどのように、どこをどのように組み変えていくのか︙。その構造自体を考えることなしに問題は解決しないようにみえる。そんな中に起こったバス置き去り事故も、あってはならない事ではあるが、この社会構造と無関係とは思えない。保育も幼児教育も昭和、平成を経て、その目的や手法も大きく転換しようとしている。そして新たなデジタル化は子ども達の空間、時間の使い方、行動を少しずつ変容させているのではないか。昭和の価値や各種概念は見直されながら入れ替わろうとしている。そのことに向かい合わなければならない。諸行無常。諸法無我。仏教の真理の厳しさが身に染みる。事務局会議︵WEB会議︶ヤングケアラーとは、英語の「ヤング」が意味する「若い」「幼い」「年下」の年齢層︵主に5歳から₁₇歳︶の子どもが、その成長の度合いに見合わない重い責任を負って、家族のケアを行っている人びとを指します︵参照:渋谷智子著﹃ヤングケアラー の現実﹄、中公新書、2018年︶。背景には、ケアを要する人への医療的・社会的サポートが充分になく、家族がその役割を担う状況の中、子どもたちもその責任を背負わなければならない実態があります。厚生労働省の「子ども・子育て支援推進調査研究事業」による民間調査によれば、高校2年生の4・1%、中学2年生の5・7%が「世話をしている家族がいる」と答え、世代を経て増加傾向にあることが分かります。また、中学2年生の回答者の約半数が小学生の頃から「家族のケア」を始めていることが分かりました。しかし、年齢が低い場合は本人の自覚もないため、小学校を対象にした調査が行われ、対象校の3₄・1%から「ヤングケアラーと思われる子どもがいる」との実態が明らかになりました︵令和3年度の調査︶。重い負担や責任が背負わされ、子ども自身の育ちや教育に影響があると考えられます。学校や社会からも見えない家庭内のことですが、これは社会的な課題であるという認識が持たれるようになりました。ヤングケアラーの当事者である子どもたちへの支援は、その実態を把握すること、周囲の大人が気づくこと、そのためにはヤングケアラーの概念をまず知ることが必要です。小学生のヤングケアラーが「世話をしている家族」は「きょうだい」がもっとも多く₇₁%。調査を踏まえた「関係機関に期待すること」に園への送迎を就学児が担当していることへの気づきが挙げられています。介護を担う子ども・若者http://www.buppo.com/仏教保育綱領慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおう令和4年11月1日発行事務局日誌₁₀/5「仏カリ」「仏教保育」編集会議〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)第700号(8)公益社団法人 日本仏教保育協会
元のページ ../index.html#64