幼児期のジェンダー教育編集後記 (桑田)ようやく気温も落ち着き、過ごしやすい季節となりました。秋空の下、子どもたちが園庭で元気に走り回り、みんなで楽しく過ごせる日が増えたことを心から嬉しく思います。今年のスポーツの日は、10月10日です。これまでは「体育」の日でしたが、より純粋に運動を楽しんでもらえるような表現にしようと、数年前に「スポーツ」の日に変更されました。この時期は運動会や休日に親子で楽しめるイベントなど、スポーツにちなんだ企画も多くなるように思います。しかしながら近年、子どもの体力低下が大きな問題となっています。現代の子どもたちは体格が大きくなった一方で、走る、跳ぶ、投げるなどの運動能力が著しく低下していると言われています。加えて、新型コロナウイルス感染拡大で気軽に外出できない日が続き、基礎体力を付けていくべき時期の成長への影響も懸念されます。乳幼児期の体力や運動能力の低下は、将来にわたって病気や怪我のリスクを高めるといった指摘もあります。子どもたちに運動を促すには、「楽しみながらできる工夫」が大切です。成果を求めて無理に参加させるのではなく、個々の能力に応じて「楽しい」と実感できるよう、内容や声かけに一つ、二つ、知恵を絞ってみたいものです。この季節の取り組みを通じて運動習慣を身に付けてもらえるよう、模索することが求められていると思います。9/₈「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)東京都は令和4年11月から「東京都パートナーシップ宣誓制度」の運用を開始します。対象となるのは双方又はいずれか一方が「性的マイノリティ」の方。「性的マイノリティ」には「LGBTQ」の言葉も同義で使われますが、広くは「エックスジェンダー(男性・女性のいずれかとは明確に認識していない人)」などのさまざまなセクシュアリティを含みます。「13人に1人」とも言われ、その割合は「左利き」の人と同じです。特別な誰かではなく、日常を共にする誰かであり、少なくない人が当事者だと言えます。言葉や制度の一般化、そして理解の広がりは、当事者が持つ不安や「生きづらさ」の緩和につながります。しかし、まだ理解や配慮が届かない層に「性的マイノリティの子」たちがいます。性同一性障害の人が性別の違和感を自覚した時期を調査したところ、「小学校入学以前」が約₅₇%というデータがあります。就学児童生徒のための対応ガイドラインはあるものの幼児期への配慮に関するものがないのが現状です。そうした中、幼児教育の場での「ジェンダーニュートラル」な取組みが注目されています。「ジェンダーニュートラル」とは、男女の性差にとらわれない考え方です。たとえば自分の持ち物を置く場所に付けるマークでも「男の子だからサッカーボール」「女の子だから花の図柄」のシールを割当てるのではなく、男女を意識しない「食べ物」「生き物」のニュートラル(中立)な図柄を採用。そこをスタートに「自分が好むものを選ぶ」「相手が好むものを理解する」感覚を身につける。その先に小中高校へと進み、自然とジェンダーや性的マイノリティーの話題を我が事として語り会える意識の醸成が期待されています。http://www.buppo.com/仏教保育綱領慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおう令和4年10月1日発行事務局日誌〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)第699号(8)公益社団法人 日本仏教保育協会
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