SDGsの17のゴール①貧困をなくそう②飢餓をゼロに③すべての人に健康と福祉を④質の高い教育をみんなに︵ESD︶⑤ジェンダー平等を実現しよう⑥安全な水とトイレをみんなに⑦エネルギーをみんなに︒そしてクリーンに⑧生きがいも経済成長も⑨産業と技術革新の基盤をつくろう⑩人や国の不平等をなくそう⑪住み続けられるまちづくりを⑫つくる責任使う責任目標⑬気候変動に具体的な対策を⑭海の豊かさを守ろう⑮陸の豊かさを守ろう⑯平和と公正をすべての人に⑰パートナーシップで目標を達成しよう開発」という考え方です。SDGsの5つの基本原則と持続可能な開発を実現するため、2015年の国連総会では「2030年までの開発アジェンダ」を採択しました。そこで示された開発・福祉の目標がSDGsです。その考え方には5つの原則があります。○普遍性先進国も含めてすべての国が努力していく。○包摂性誰ひとり取り残さず、すべての人が享受できるようなものを考える。○参画性すべての立場の人たちで役割を担う。○統合性社会・経済・環境のある側面だけではなく、全体を見ていく。○透明性誰がどういう状況かを分かるように説明責任を果たし、プロセスを明らかにする。この5つの原則のもと、目標として17のゴールが作られました。2030年達成のため、世界が努力する目標が設定されたのです。今、なぜこうしたことを考えないといけないのでしょうか? つの理由があります。○生活様式を変える1つは、私たちの生活様式が決して持続可能なものではないからです。現在の米国のような浪費的な生活を世界中の人びとがしたなら、地球5個分の資源が必要になると言われています。日本を基準にしても地球が2個以上必要です。今の私たちの生活は、将来の子どもや孫たちが必要とする資源を食い潰している状況だということを認識しなければいけません。今、私たちの生活様式を変えていかないといけないのです。○意識改革が必要大量生産、大量消費、大量廃棄といった20世紀型の文明観をこのまま持ち続けて行くことはできません。生活様式を持続可能なものにするためには技術開発も必要です。しかし、ただ技術に頼っていればいいのではなく、資源を大切に使って行くような考え方に、私たちの意識を変えていく必要があります。これを「パラダイムシフト(当たり前だと考えられていた考え方や価値観の劇的な変化)」と言います。○不確定性の増大に備える気候変動に伴う災害、経済格差による貧困、これらは日本においても大きな社会問題となっています。将来のことが予測不可能な時代では、自分で課題を発見し、解決する力を身につけることが必要です。こうした課題に対応するための基盤となるのが人づくりです。そのために必要なのが、持続可能な開発のための教育(ESD)です。持続可能な開発のための教育︵ESD︶ESDとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。国が定めた定義があるのですが、少し難しい文言なので私なりに噛みくだいた説明を紹介します。○世代間の公平性を考える私たちは自分たちのことばかり考えず、子や孫たちもちゃんと暮らしていけるためには何をしなければいけないかを考えましょう。○幅広い視点を持つ環境問題だけでなく、貧困や教育、ジェンダーなどさまざまな格差について、まさにSDGsの17のゴールすべてが対象です。○身近なところから視点を広げる突然「世界の問題」と言われても大人はもちろん、子どもたちにはとっつきにくいもの。食の問題も身近なフードロスから始め、日本の農業政策、国際的な農産物流通の公平性、途上国における児童労働の問題など、だんだんと視点を広げ学んでいくことが大切です。○行動の変容をもたらすパラダイムシフトによる価値観の変容は頭でわかるだけでなく、行動の変容にもつながり、その結果として社会自体が変わっていく。そこまで見据えて人づくりを考えなければいけません。○持続可能な社会をつくる最終的にはみんなが楽しく暮らしていけることを目指す。自分たちだけでなく、将来の世代の人たちも含め、みんなが幸せに暮らしていけるための人づくり。それがESDなのです。SDGs達成に必要なESD「質の高い教育をみんなに」はSDGsの17のゴールの1つであり、ESDはその中に含まれます。しかし、ESDは他のすべてのゴールにも関係します。貧困の撲滅、ジェンダー平等、公平性……、すべてのゴールの基盤となるのが人づくりだからです。ESDとはすべてのSDGsの達成に貢献します。では日本の教育現場では、ESDを進めるために何が必要かを見ていきましょう。 私はかつて勤めていた国連大学では、ESDを進める上で次の3つの能力を身につけることが重要と提案しています。○観察力たとえば、子どもに地域の地図を渡し、まちのお地蔵さんがどこにあるかを書かせる。でも書けない子がほとんどです。地域の大切な文化である地蔵の存在や、毎日通る地域への認識も大切。身の回りの環境や自然に注目する機会をつくってみましょう。世界で一番豊かな国、たとえば米国と、世界で一番貧しいと言われているアフリカのサハラ砂漠周辺地域では、エネルギーの使用量や栄養の摂取量で20倍以上の格差があります。そうした格差を、現在の世代の中でなくしていくことが大切である。誰もがどこに暮らしていても、どの時代に生きていても、ちゃんと暮らしていけるような社会を作りましょう。それが「持続可能な3令和4年9月1日発行第698号(2)₁₇のゴール
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