202211
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・深海のプラスチック・有害物質の濃縮海の影響を強く受ける日本の環境人類が作り出したプラスチック減量・再生、そして循環へ済」の目標がある。つまり、一番下の「環境」が崩れてしまうと「社会」も「経済」も崩れてしまうのです。こうした視点からも環境について考えることの大切さが分かります。今日の講演が、海がなぜ大事かという視点で地球環境全体について思いを馳せ、考えるヒントになればと思っています。今、海の危機が迫っています。地球の温暖化、それによる南極や北極の氷が溶けることで進む海面上昇、さらに海の酸性化や貧酸素化による海洋生態系の破壊など。こうした海の危機が私たちの社会にも影響します。たとえば、海水温が上がると、以前はフィリピン沖で発生していた台風が、日本近海で発生しすぐにやってくるようになりました。今年から気象庁が予測情報を出すようになった線状降水帯も、海水温が高くなったために積乱雲が次々に発生することンによるものです。地球温暖化を予測する研究に取り組み、2021年のノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎先生は、日本の文化勲章を授与された際に「日本では大洪水が最大の問題となってくる」と警鐘を発しました。温暖化の影響は将来の課題ではなく現在の日本が直面する問題だと指摘したこの言葉はとても重いと私は考えています。ここで冒頭の海のプラスチックについてやっと話を戻すことができます。なぜなら「プラスチックをどうするか」だけを考えても問題は解決しません。この問題はどうして起こったのかをふり返る視点を持ち考えることが大事なのです。プラスチックは化石燃料から作られます。作るときにも、廃棄するときにも、リサイクルするときにも二酸化炭素が発生します。これをどうやっておさえるかを考で発生します。地球の気温上昇には太陽の活動や山火事などの自然の影響もありますが、圧倒的に大きなものが人的原因です。人間が生み出す温室効果ガス、二酸化炭素やメタえると、プラスチックだけでなく温暖化の問題にも関係してくるのです。今、世界にあるプラスチックゴミは63億トンと試算されています。そのほとんどは地上にあり、関心が高まっている海洋プラスチックはその一部に過ぎません。日本は、海流の関係で海外のゴミがどんどん寄ってきます。近い将来、プラスチックゴミに関する「大国」となるでしょう。ですから管理や処理について「先進国」にならないといけません。地震対策において先進国と言える考え方や技術を持ったように。「人新世」という言葉があります。「ジュラ紀」「白亜紀」のような地質時代を示す言葉で、「人新世」は人類の活動を示す現代に至る地質区分です。地球温暖化などの気候変動、大量絶滅による生物多様性の喪失、人工物質の増大などが特徴で、人工物質の中にはプラスチックも含まれています。海洋ゴミのマイクロプラスチックは5㎜以下。海岸のゴミを拾うように回収することはできません。砂を水で洗い、浮いてきたものを網ですくい、それを手作業で1片ずつ形や色を分類する調査が行われています。大変な作業ですが、このデータがいずれ海洋プラスチック対策に役立ちます。さまざまな調査から海洋プラスチックに関して分かってきたことを紹介します。大半のプラスチックゴミのほとんどはまだ陸にありますが、海面に浮かぶプラスチックの量を調べると想定量より圧倒的に少ない。深海に行き、溜まっている。そこで深海探査船で調べたところ5000〜6000mの深い場所でも確認されました。しかも水温が低く、紫外線も届かないので劣化や分解が進まない。探査船が撮影した画像には昭和59年のハンバーグの袋が文字も判別できる形で残っていました。プラスチックは、有害物質を吸収します。日本の海には、公害が社会問題だった頃の有害物質が残っています。微量で稀釈され、それ自体は問題ではなかったのですが、プラスチックが吸収することで濃縮されるのです。プラスチックはさまざまな物に使われています。パッケージ、レジ袋、電気製品・機器、衣類。海洋プラスチックを減らすためには、地上のプラスチックゴミを減らす必要があります。使用製品の生産量を減らす減量。どうしても廃棄しなければ行かない場合は、発電のための焼却やガス化などでエネルギーにする場合もあります。または原料としてリサイクルする。しかし、プラスチック製品にはさまざまな種類があり、その材質が分からないとリサイクルは難しい。そこでペットボトルからペットボトルを作るなど、同じ製品の原料にする「循環」の仕組みが注目され、政府も「循環型プラスチックの利用」の施策を出しています。プラスチックの利用をゼロにはできません。必要不可欠なものもあるからです。廃棄、リサイクル、循環が簡単か困難かを製品ごとにきっちりと分類することでそれぞれの解決策が生まれてきます。「海洋プラスチックは驚異か?」と聞かれれば、脅威ではあるけれど、未知数なことも多い。知恵を出し合えば解決できると思います。そのためには、ゴミに関する教育が大切。知識を増やすだけでなく、信頼性の低い情報に惑わされないようにする。過度な心配をして、危険性のないものまで恐れない。これは、今もみなさんが日常生活でしていることです。「地球は元に戻れるか」を結論から言えば、昔に戻ることはできません。しかし「子どもたちに豊かな地球を残す」ためにはそれではすまされない。自然にいかされている実感がなく、自然を理解していないと気がついた。それが今日の私たちだと思います。縁起は人と人の間でも人と自然の間でもあると考えたいと思います。(3)第700号99%が行方不明です。どうやら令和4年11月1日発行

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