202210
7/8

閉講式この視点は乳幼児期の自立支援に携わる保育者にとって、とても重要だと言います。・乳児期発達に特徴のある子どもが園にいたら、その親御さんへの支援も欠かせません。生後3か月くらいからの赤ちゃんの反応が「親らしさ」を引き出す場合が多いのですが、発達障害のあるお子さんの場合には反応が異なり、親子関係がギクシャクしていることも。それは親のせいではなく、子どもの脳の特性であることや、対応を伝えていくことが必要です。・幼児期障害を持つ子も、インクルーシブな集団生活の中で、充分に自分を発揮し、まわりの子どもたちと経験を積むことが大事です。とくに幼児期はまわりの子どもたちも偏見なくその子と関わることができます。大人なら1度の反応で対応を加減しますが、子どもは〝しつこく〟関わります。研究室や相談室では知り得ませんでしたが、現場で体感した子ども同士の〝うるさい〟〝しつこい〟の刺激や情報量はすごい。こうした環境は、どの子にとっても、言葉やコミュニケーションの発達において大切なことです。・学童期・中学生期・高校生期この頃になると、お子さんによっては、特別支援学級や特別支援学校を利用しながら、基礎学力や「できること」を学ばせ、社会で生きていくためのスキルを身につけることも必要になってきます。そのためにも子どもの短所や長所の客観的理解が大切です。「こうした発達に応じた自立支援を継続したインクルーシブ保育の目標とするものは『コミュニティインクルージョン』です。幼児期に一緒に育った仲間、自分に適した社会的役割、それぞれがインクルーシブな生き方=人とつながりながら共に暮らし続けられる社会を実現するためのものです」「ニーズに合わせた支援」には、社会生活を送る中で不都合を感じない工夫=合理的配慮が必要です。石井先生は、「教員、支援員等の確保」や「施設・設備の整備」の事例を紹介してくださいました。「専門家のアドバイスを求めつつ、その子の支援は保育者自身が考え、工夫していくことが必要です。そこで注目されているのが、インクルーシブ保育に役立つペアレントトレーニングという技法です」元は米国で生まれたもので、「子どもの良い所を探してほめる」ことを基本としながら子どもの行動を分析していきます。保育者から見た子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「絶対ダメな危険な行動」の3つに分けます。多くの保育者は、実は「好ましくない行動」に注目しがちです。6講にさせていただき、例年よりそして「好ましい行動」は当たり前のこととして放っておくと指摘。「好ましい行動に注目し、ほめて増やす。これには『₂₅%ルール』が有効です。難しいことですが、好ましくない行動には、気づかないふりをする。危険な行動には怒らずに〝穏やかに〟〝近づいて〟〝声のトーンを抑えて静かに〟伝えると子どもの協力を引き出すことができます。ペアレントトレーニングは園の現場で役立つ手法です。今日おはなししたヒントをぜひ実践してみてください」閉講式は合掌礼拝の後、髙山理事長が挨拶いたしました。「受講生の皆さん、2日間の夏期仏教保育講習会を受講いただきましてまことにありがとうございました。今回は、今までと違う形で感染防止に努め、日程も8講をも短い講習になりました。そうした状況でありながらも、先生方とこうして対面でお会いすることができました。参加していただいたことで、私共も励まされました。6講の内、4つが仏教のお話しでした。4人の先生それぞれの切り口は、仏教とはひとくちでは語れない、とても大きな思想でもあることを表しています。それぞれの切り口、各先生の表現した言葉をしっかり受け止めていただき、日常の仏教保育にこの講習の内容を生かしていただきたい」続いて、受講生を代表して妙福寺保育園(東京都)の坂本恵子先生に修了証が授与されました。坂本先生は次のような「受講生謝辞」を述べられました。「受講生₅₅名を代表してお礼の言葉を述べさせていただきます。身近な例を挙げ、分かりやすくお話しくださったことにより、私たちの生きる日常の中に、ごく自然に仏教の教えや言葉が存在していることを実感いたしました。何度も言葉がスッと体に入ってくるような感覚を味わい、やがて当初難しそうに思えた仏教保育が、自ら実践したい保育へと変わっていました。お話を心にとめ、命の大切さを伝え、1人ひとりを認め、受け入れ、寄り添う保育を目指し、務めてまいりたいと思います」⬇⬇⬇(7)第699号令和4年10月1日発行「いいね!お野菜から食べてエライね!」「姿勢が良くてカッコイイね!よく噛んでるね!」⬇「おいしいね!しっかり食べてくれて嬉しいな!」「あと少しだね」「よく頑張ったね!お皿がピカピカだね!」1口食べたら3口食べたら25%食べたら半分食べたら食べ終わったら完璧を待たずに25%ルールでほめるたとえば食事の場面で…

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る