シンガーソング絵本ライター中川ひろたか先生ぼくの作った歌と絵本のだと思います。自己肯定が弱いと自分のことを『もう、しょうがないや』と思いがちです。みなさんの言葉が将来の子どもたちをさらに成長させます。ですから、今までも使ってきたとは思いますが、これからも素敵な言葉をたくさん子どもたちに使っていただきたい」子どもたちの未来を想像すること、未来の成長に思いを馳せること。この気づきを深めるために、𠮷野先生は「仏教は理念で考え、実際に実践していくこと」だと、仏教の教えについて解説してくださいました。◆三法印(理念)…この世のすべてのものは変化して壊れていく(諸行無常)。だから自分中心にものを考えてはならない(諸法無我)。欲望や憎しみなど自分勝手な思い込みを無くすことで苦しみが消えて楽になる(涅槃寂静)。◆四摂法(実践)…教えやものを施すことで独り占めせずに分かち合うこと(布施)。あたたかい心のこもった言葉をかけること(愛語)。見返りを求めずに、他人のためになることをすること(利行)。相手の立場に立って物事を行うこと。苦楽を分かち仕事をすること(同事)。「みなさんも園で〝目を配る〟〝心を配る〟ことがありますね。それが布施=施しなのです。そして子どもがホッとする言葉を使うでしょう。それが愛語。そして子どもたちの健やかな成長に寄与しています。それが利行なのです。毎日、子どもたちの一人ひとりの立場に立って、一緒に悩んだり、一緒に考えたりして親身に話を聞いてあげていることでしょう。まさに同事の実践です。実は、みなさんはすでに四摂法ができているんです」「日本初の男性保育士」でもある中川ひろたか先生は、数多くの絵本や童謡を子どもたちに届けてきました。その誕生エピソードを盟友でもある鈴木出版の波賀稔編集長と語ってくださいました。「僕はいつもこう思います。今日、この増上寺の講堂に僕がいて、横に波賀さんがいて、みなさんと一緒にいる。この全員が会えるのはたぶん今日だけ。これは奇跡なのだと。僕たちはこうした奇跡の連続の中を生きている。僕はこの奇跡を尊重したい。この奇跡に感謝したい。それを作品にしています。こういう気持ちは、きっと仏教の考えとも重なるのではないでしょうか。たとえば〝縁〟でしょうか」合間には、自著の絵本の朗読や歌も披露。「絵本は楽しく子どもたちに読み聞かせてほしい」「子どもたちと一緒に歌ってあげて」という熱いメッセージが、全国から集まった受講生の胸に刻まれました。当日、披露された作品をご紹介します。◆歌…『世界中のこどもたちが』◆絵本…『ふしぎなふうせん』◆絵本…『カピバラさんのだるまさんがころんだ』◆絵本…『あたまとんとんたたいたら』◆絵本…『ぼくたちのきせき』◆絵本…『ロケットペンギン』◆歌…『虹』中川先生が制作した楽曲は2500曲以上、絵本の累計部数は630万部にのぼります。その創作の原点は、20代の誕生日の夜にさかのぼるそうです。「ひとり暮らしをはじめた部屋で、誕生日の夜にストーブの灯りを見つめていると『今日、自分は母親の体から生まれてきたのだな』とふと思ったのです。自分とはなんだろう? 分が、だんだんと余計なものを身につけ大人の姿をしている。そう考えたら、自分の本質、人間の最初の所、子どもたちをたくさん見たくなりました」後に創作活動を共にする湯浅とんぼさんとの出会いから、保育園子どもだった自中川先生による第三講義中川先生とトークを行う波賀編集長(右)令和4年9月1日発行第698号(6)
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