■第698号■持続可能な開発目標︵SDGs︶とは令和4年6月16日/大本山増上寺光摂殿講堂令和4年度 第1回仏教保育研修会講師 日本ESD学会副会長 鈴木克徳先生本日の講演名には「SDGs」「ESD」と横文字が2つも並んでいますが、決して難しい話をするわけでありません。みなさんが日常でやっていること、それがとても大切ですよということ、それを裏づけるような話をさせていただきたいと思っています。重要な点は2つ。私たちがESDでやろうとしていることは「人づくり」だということを話します。もう1つは、ESDとは、実は仏教との親和性がとても高いということ。人に対する思いやりの心、自然や生き物に対する思いやりの心といったものが、ESDの考えと仏教の精神ではつながっているのではないか。今日、ここにお招きいただき、そのお話をさせていただくことを、私はとても嬉しく思っています。昨年12月の『朝日新聞』調査によると「SDGsという言葉を聞いたことがある」と答えた人は関心がある」と回答しています。SDGsという言葉は、ずいぶんと広まってきているようですが、その内容をどの程度知っているかを聞くと、「少し知っている」5₆・2%、「ほとんど知らない」という人が約2₈%。言葉は知っているが中身は充分に知られていないという状況です。SDGsとはどういうものか。1987年に発表された「環境と開発に関する世界委員会」報告の中で「持続可能な開発」という言葉が使われました。そこでは「将来の世代がそのニーズを充足する能力を損なわずに、現世代のニーズを充足する開発」と言われています。何のことかさっぱりわからないかと思いますが、キーワードは「将来の世代」です。私たちが資源を使い過ぎてしまって、私たちの子や孫が暮らしていくのが困るような状態をつくってはいけない。「将来の世代」もちゃんと暮らしていけるように、資源の使い方を考えていかないといけない。もう1つのキーワードは「現世代のニーズの充足」です。現在、SDGs・ESDと幼児教育【プロフィール】講師:鈴木克徳(すずき・かつのり)/環境省に34年間勤務。その間の5年間は、国連大学に出向しESDの推進、国連大学ESD地域拠点の構築・推進、高等教育機関によるESD推進等に尽力。2007年より金沢大学で環境政策を教えながら、北陸ESD推進コンソーシアムを設立。ESDーJ(NPO法人持続可能な開発のための教育推進会議)の理事も務める。(1)第698号7₆%。内、約₆0%が「SDGsに令和4年9月1日発行仏教保育2022.September9
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