編集後記 博物館誕生150年目の年上野の東京国立博物館は、今年3月1₀日に開館150周年を迎えました。同館は、日本最古の博物館でもあり、今年は「日本における博物館の役割」をふり返り、見つめ直す機会ともなっています。誕生まもない明治政府が、初めて公式に参加した博覧会は1873年(明治6)のウイーン万博。その準備のため、前年3月1₀日から₂₀日間、文部省が湯島聖堂大成殿で日本初の博覧会を開催しました。学術資料や工芸・絵画・書など約600件を展示。「ケースに陳列された美術品を鑑賞する」こと自体が新しい経験として話題を呼び、日に3000人もの観覧者が足を運ぶ連日の大盛況となり、会期は1か月延長されました。日本の博物館誕生の瞬間には、人びとの文化に触れたい、本物を見たいという熱気が存在していたのです。現在の東京国立博物館では、インドから日本へと仏教が伝来してきた歴史を、時代と地域の文化の息吹を感じながら見ることができます。「東洋館」では、インド・ガンダーラの彫刻、西域の美術、中国の南北朝から唐の時代の仏像、朝鮮半島における三国時代から高麗時代の仏教美術を展示。「本館」では寺院の堂内を模した大空間で日本での仏像の時代による変化を解説。「法隆寺宝物館」では、法隆寺から皇室に献納され、戦後国に移管された宝物が収蔵・展示されています。博物館への感心は、新聞やTVで取り上げられる特別展がきっかけになりますが、こうした常設展示にも博物館が誕生以来持ち続けてきた「歴史や文化に触れる魅力」があります。150年前の人びとの文化や知識を求める熱気は、東京に留まらず、各地の博物館、身近な資料館・歴史館へと受け継がれ、私たちの財産となっているのです。SDGsもテレビやメディアを通じてだいぶ浸透してきました。しかし、そのような中、ロシアとウクライナの戦争は停戦もせず終結の出口も見えません。1₆番目の行動計画である「すべての人に平和と公正を」からは程遠い現実と言わざるを得ません。私たち大人はこのことにどのように向かい合い、子ども達に何を伝え、説明し弁明することができるのでしょうか。「持続」どころか「破壊」の姿を見せてしまっているのです。考えると、この行動目標は、生まれてから今に至るまでの人間形成の中で、生命感覚や規範意識、共生感覚が根付いていなければ表面的な「やらされ事」になってしまうように思います。自分の自我があって相手と喧嘩をしても、許し合い、折り合える自分に戻って来られる反復力、自己回復力が重要ではないでしょうか。その力は乳幼児期教育の遊びの中で、相手を信頼することや、一緒にいることの楽しさを通じて、深くじわじわと育つものであることを、私たち保育者や子どもを育てる人たちは認識しなければいけないと思います。表面的な行動目標に偏ることなく、乳幼児期の保育、幼児教育や家庭のふれあいの中で「見通し」や「持続すること」の不可欠さ、必要性を知り、それがSDGsの基礎となっていくことを見失ってはならないと思います。5/₉令和3年度業務・経理監査会「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)5/₂₆第₂₇回理事会・第₂₀回運営審議委員会(五島)事務局日誌令和4年6月1日発行第695号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会
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