202205
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編集後記 「機能の裏側に仕組みがある」2022年度から高等学校でのプログラミング教育が必修になりました。これは新学習指導要領に基づくもので、中学校では2021年度から、小学校では2020年度から始まっています。「プログラミング」と聞くと、ロボットを動かすためにパソコンを入力している姿を思い浮かべるかもしれませんが、そうした「実習」を授業で行うのは高校生から。共通必履修科目に「情報I」という授業が新設されます。では、小学生はどのような授業をしているのでしょうか?実は、特定の教科で具体的な授業が行われているわけではありません。算数や理科だけでなく社会や音楽なども含む各教科、6年間の教育課程内での学びと位置づけられています。学校外の「教育・IT関連の企業・団体」と連携した体験機会も含まれるため、学校ごとの工夫や判断で多様な学習シーンが想定されます。現状の実施事例などから、4年生以上の高学年を対象に行う小学校が多いと考えられています。未就学のお子さんにとっては「まだまだ先」のこと︙︙、というわけではありません。教育の目的は「プログラミング的思考」を身につけること。それは、社会の利便性や人の「こうしたい」を機械化や自動化にゆだねるための、「仕組みをどう組み立てていくのか」を考える力を育てることです。「Z世代」とは₉0年代半ば以降に生まれ、ボタンを押して動くアナログを知らないデジタル世代。そして2010年代以降生まれは「α世代」と呼ばれ、社会の仕組みにAIが組み込まれた便利さの中で育っていきます。小さい頃から「どうして?」「なぜかな?」を自身に問いかける習慣が、便利さを受け身ではなく自ら考え作り出す「プログラミング的思考」の予行練習となります。それは幼児期の日常そのものです。「セトモノとセトモノとぶつかりっこするとすぐこわれちゃう。どっちかやわらかければだいじょうぶ。やわらかいこころをもちましょう。そういうわたしはいつもセトモノ」有名なあいだみつおさんの詩です。人と人との争いやいさかい、ケンカ。大体がこの心で起こってくるのですね。戦争も自分(国)の正義と相手(国)の正義がぶつかることで、弱い人、罪のない人を巻き沿いにし、戦いが始まり、命の尊さを見失っていくことになります。人間の業であり煩悩であり愚かさです。「おりあう」「対話的」︙。この心や行動を育てる幼児教育の持つ意味は益々大きいのだと実感させられます。主張だけができることが重要ではないはずです。相手を思い、自分の主張と相手の思いをミックスしたり、バランスをとる心で人と接することで、自分も、相手も「こわれず、こわさず」にいられる。考えや行動は違うけど、一緒にあそべる。︙そのことを学ぶ機会が幼児期でしょう。子どものケンカの体験はそのことを経験する学びです。その体験が持続性や平和を尊重できる人の基礎を作るのではないでしょうか。愚かな戦争の最中、「兵戈無用(仏説無量寿経)」たる仏教の心を伝えたいものです。 ₄/6 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)(五島)事務局日誌令和4年5月1日発行第694号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会

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