1.環境教育とは2.いま地球に起こっているこ と 3.SDGsとは4.パネルシアター実演「地球を笑顔に! SDGs」いま地球に起こっていること環境教育を広めたいしい経験だったことから、日本に帰国した後も、海外に出かけてパネルシアターを普及する活動を続け、現在に至ります。これまでに活動を行った国は10か国以上。グアテマラ、インド、タイ、ベトナム、モンゴル、ネパール、スリランカ‥‥そしてグアムには15年ほど毎年訪れているそうです。こうしてパネルシアターを日本のみならず世界に広げていく活動をしながら、大学では幼児教育の学生たちを中心に実習や児童文化についての授業をもっていらっしゃいます。講義内容は、次の4つでした。日本では、環境の保全についての理解を深めるために行われる教育や学習を「環境教育」といいます。環境教育でどのような力を育てるかというと、①環境に対する豊かな感受性の育成、②環境に対する見方や考え方の育成、③環境にはたらきかける実践力の育成などです。「いま地球に起こっていること」については、生物多様性、気候変動、人口爆発、いまも世界中で多くの人がトイレやきれいな水を必要としていることなどを、各種データをもとに話されました。さらに、大量の「海洋プラスチック」が発生していることの有害性について、クラゲと間違えてプラスチックを食べてしまうウミガメの例を紹介してくださいました。「2019年に高知県内でウミガメが保護されました。1か月ほど経っても元気がなく食欲もありません。その一方で、水槽の底からたくさんのプラスチックごみが出てきました。エサを食べないのはお腹の中にプ「マイクロプラスチック」になっ「自分がどんなプラスチック製ラスチックごみが詰まっていたからで、ウミガメはようやくのことでそれを排泄したのでした。見つかったのは、プラスチック容器やビニールシートなど。このウミガメが普通にエサを食べられるようになるまで半年ほどかかったそうです」(藤田先生)海洋プラスチックは、2050年には海にいる魚を上回る量になるといわれています。海中のゴミが魚よりも多くなる、それぐらい危機的な状況にあるということです。海洋プラスチックは、波にもまれたり陽にあたったりしているうちにどんどん小さくなり、ていきます。ごく小さいものではウイルスぐらいのサイズになるそうです。マイクロプラスチックになると、飲み込んで消化管に入るだけでなく血管や細胞膜を通って体のどこに入り込むかわかりません。私たちはいま、このマイクロプラスチックを体内に含んだ魚を食べてしまっているのです。こうした問題に対して、まず大切なのは「私たちにできることはなんだろう」と考えること。品を使っているか意識してみることから始めましょう。そして海の生物にどう影響しているのか、思いを馳せてみてもらえたらと思います」と藤田先生。そんな中、SDGsが国連で採択されました。これは人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき17の目標です。貧困、紛争、気候変動、感染症など人類は本当に数多くの課題に直面しています。藤田先生は、こうした環境教育を今後どんどん広めていくために、パネルシアターの新作「地球を笑顔に!SDGs」をつくられました。「地球が笑顔になるように行動しましょう。いまできることから意識し行動できたらと思います。ご静聴ありがとうございました」。お話のあと「地球を笑顔に!SDGs」のパネルシアターを実演され、会場は笑顔でいっぱいに。その後、藤田先生の丁寧なレクチャーのもと、参加者がキャラクターをはさみで切り取ってのり付けしたり、針と糸で動くしかけをつくったりして、パネルシアター作成に取り組みました。最後に、班ごとに演者と観客に分かれてできあがったパネルシアターを実践。会場のそこここで、台本を読み上げる元気な声や拍手・歓声が上がっていました。閉会前、藤田先生がブラックパネルシアターの一端を披露してくださいました。ブラックライトをパネル全体にあて、蛍光インクで描かれた絵を動かすパネルシアターです。暗転した会場の中で、パネルの上にキラキラと輝く花火が上がり、感動的なひと時となりました。(3)第693号令和4年4月1日発行
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