2021-2022
96/96

編集後記死別の哀しみ「グリーフ」に寄り添う身近な人や大切な人を亡くすと、悲しみ、痛み、怒り、後悔、自責、恋しさ、不安、無感覚︰︰と様々なつらい感情を抱きます。英語には、死別などによる深い悲しみや悲嘆といった意味を表す「グリーフ)」という言葉があり、日本でも「死別を中心とした様々な喪失体験に伴う感情」という意味で用いられるようになりました。喪失体験をした人が安心してグリーフに向き合うことができる場を提供する「グリーフケア」や「グリーフサポート」には、①カウンセリングなどの医学的・心理的ケアに加え、②同じような体験をした人同士が互いに見守り励まし合うピアサポートや、③相談支援機関によるソーシャルサポートなども含まれます。アメリカには、子どもがグリーフサポートを受けられる場が500か所ほどあるそうです。日本では、東日本大震災の頃から僧侶も含め有志のグループが発足し始めました。また、東京都世田谷区がグリーフサポートに初めて予算をつけた自治体として知られています。子どもが遺児となる時、交通事故、病気、震災、自死(自殺)など要因はそれぞれ違い、十人が十通りの多様な反応を示します。乱暴、怒りっぽい、極端におとなしい、勉強しない(集中できない)、無気力といった子どもの問題行動は、実はグリーフの表れだったということも多いそうです。赤ちゃん返りや身体的な症状が出る子もいます。子どものグリーフケアの基本は「主導権を奪わないこと」。評価せず、「共にいる」という姿勢で寄り添うことが大切です。コロナ禍で「日常がこれまでと変わってしまった」というのも喪失体験の1つ。皆さんも自分の状態を自覚してセルフケアを心がけてください。grief(年度末の3月を迎えました。各園では卒園、進級の準備に追われていることと思います。保育園、こども園の卒園式では、0、1歳で入園した子どもが立派に成長した姿を見せてくれます。改めて子どもの成長を目のあたりにできることは、保育者の喜びでもあります。卒園と同時にやって来る新年度は、心機一転、晴れやかな気持ちになることもありますが、園運営に関わる先生方にとっては、新しい環境づくりや園の人事配置に頭を悩ませる季節でもあります。今の保育現場では、人材の確保が慢性的な課題になっています。数年前まで人材紹介会社への手数料は年収限が撤廃され、20~₃5%まで引き上げられています。人手が集まらず紹介会社を介した募集を続けることで、年間数百万円から1千万円もの支払いが発生することもあるそうです。現状では、園の環境整備や職員の処遇改善に当てるべき予算を、人材の確保だけに使ってしまうことにもなりかねません。子ども目線の保育の実践には、保育者の充実が不可欠です。働きやすい環境を整えることで職員は長く働き続けることができ、人材確保にも良いサイクルが生まれます。環境に合わせた各園の工夫で、子どもにとっても保育者にとっても、充実した新年度が迎えられるよう願っています。 の10パーセント程度に制限されていましたが、今は制2/4 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)2/22 養成機関連絡協議会(桑田)事務局日誌令和4年3月1日発行第692号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会

元のページ  ../index.html#96

このブックを見る