2021-2022
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気候変動とSDGsの策定公益社団法人日本仏教保育協会は、「令和3年度仏教保育研修会」としてオンライン研修を配信しました。神仁先生の配信された講義内容の概要を紹介します。温暖化が進むと…皆さん、こんにちは。本日はご視聴いただきまして誠にありがとうございます。今年度、真鍋淑郎さんのノーベル物理学賞受賞が決定しました。真鍋さんはアメリカの気象局などで研究を行い、様々な要素が複雑に絡み合う気候の変化をコンピューター上でシミュレーションする「大気海洋結合モデル」を発表。そして、二酸化炭素の濃度が上がると地上の平均気温が上昇することを初めて明らかにし、地球温暖化予測の先駆的な研究を行いました。真鍋さんは、「研究を始めた1960年代には気候変動がこれほどの大問題になるとは想像していなかった」と、受賞決定後の会見で語っています。しかし昨今、温暖化による異常気象が世界各国で続いています。今年6月にはカナダ西海岸のブリティッシュ・コロンビア州で国内観測史上最高の49・5℃を記録し、暑さが原因とみられる高齢者の突然死が相次ぎました。7月にはドイツやベルギーで豪雨により200人以上が犠牲となった洪水が発生。8月にはイタリア南部のシチリア島で、ヨーロッパ観測史上最高気温とみられる48・8℃を観測しました。さて、皆さんもSDGsという言葉を様々な場で見かけることが多くなったと思います。SDGsは「持続可能な開発目標」と訳され、2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標として、17の目標と169のターゲットから構成されています。地球上の「誰一人も取り残されない」ことを誓っていて、発展途上国のみならず、世界全体の国々の開発目標として策定されたものです。皆さんよくご存知の「子どもの権利条約(CRC)」は1989「環境」の問題についても、世界年に国連で採択されましたが、日本政府は5年後の1994年にようやく批准した、ということがありました。それに対して、SDGsは、日本が主たるメンバーとなって策定に努力してきた結果、2015年9月に国連で採択されたという経緯があります。貧困、子どもに対する暴力、教育…そして本日の課題としているが一丸となって取り組んでいくという趣旨のもとに策定されました。この写真(上段)は、その少し前、私が2015年の7月にニューヨークの国連本部を訪問し、要望書を提出した時のものです。私としては、日本の子どもたちが抱えている、いじめ、虐待、自殺、貧困、不登校、ひきこもりなどの問題についても、しっかりと対処してもらいたいという思いで赴きまして、要望書を関係大使にお渡ししました。これから1つの動画をご覧いただきます。国連環境計画(UNDP)が作成した『絶滅を選ぶな』という動画です。過去に絶滅した恐竜が国連の会議場に立って、人間に「絶滅を選んではいけない」と演説をしていましたね。これはイギリスでのCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)開催に先だって公開されたもので、COP26において、二酸化炭素の削減、いわゆる「ゼロエミッション」を実現する具体的な行動計画を策定してもらいたいという願いが込められた動画だと、私は思います。国連のグテーレス事務総長は、演説の中で「今後の10年が私たちの未来にとって決定的に重要である」と述べましたけれども、各国の歩調がいま1つ噛み合わない。特に日本の積極的な取り組みがいまだ評価されていないという現状にあります。IEA(国際エネルギー機関)がまとめたデータによると、CO2排出量が世界で最も多いのは中国で95億7100万トン、2番目がアメリカで49億2100万トンです。そして、ワースト5位が日本。10億8100万トンとなっています。まだまだ日本が取り組むべき課題は大きいと言わざるをえません。2018年には、当時15歳だったスウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんが、「気候のための学校ストライキ」と書かれたプラカードを掲げて国会議事堂の前で座り込みをしました。この毎週金曜日に気候変動対策を訴えるグレタさんの呼びかけに世界中の子どもや若者たちが共鳴。「未来のための金曜日」というスローガンの仁先生(全国青少年教化協議会常任理事/東京慈恵会医科大学講師)「子どもたちに豊かな地球をつなぐために令和3年度仏教保育研修会講師  神  ―SDGsと〝いのち〟のつながり―」オンライン主催:(公社)日本仏教保育協会動画『絶滅を選ぶな』令和4年3月1日発行第692号(6)

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