2021-2022
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子どもの声を聴く「チャイルドライン」子どもが利用できる無料電話相談サービスの1つに「チャイルドライン」があります。18歳までの子どもの「声」を聴き、その気持ちに寄り添う活動です。1986年にイギリスで始まり、今では2年に1度のチャイルドライン世界大会に120か国からの参加があるといいます。日本では、1998年に東京都世田谷区の市民団体により最初のチャイルドラインが開設されました。翌年にチャイルドライン支援センターが設立され、現在、全国68団体がそのネットワークに参加し、活動しています。チャイルドラインの主役は子ども。大人の直接的な助言やアドバイスで問題を解決するのではなく、子どもが自分の気持ちを整理しながら解決方法を探っていく過程に寄り添います。子どもが安心して話せる場となるために、「チャイルドラインの約束」というルールがあります。①ヒミツはまもるよ、②名まえは言わなくていい、③どんなこともいっしょに考える、④切りたいときには切っていい、の4つです。また、チャイルドラインでは、子どもたちの声をデータにまとめ、分析して、年次報告として発表しています。例えば、﹃2021チャイルドライン年次報告﹄には、寄せられた相談から垣間見られた新型コロナウイルス感染症流行による子どもたちへの影響を次の項目にまとめています。・生活習慣の乱れ ・教育格差の拡大 ・栄養不足 ・貧困の加速 こうして、話を聴いたままにするのではなく、そこから見える子どもたちの状況を社会に発信し、子どもが生きやすい環境をつくっていこうとしているのだそうです。・監視社会(いじめの増加)・虐待の増加・DVの増加・性の問題この原稿を書いているのは、令和4年の元旦です。振り返ると昨年までの2年間、新型ウイルス感染症の予防と対応に苦慮する日々が続いてきました。中国で最初に確認された新型コロナウイルスが日本にも広がりをみせた当初は、仏教の基本思想である縁起(=あらゆるものは繋がって存在している)を改めて考えさせられました。約2年経ったこの年末にも、南アフリカで変異したオミクロン株の感染が増加傾向となり、瞬く間に世界中に拡大しています。地球規模の繋がりが意識させられる状況に、この「縁起」が今度は良い方向に生かされていくことを願ってやみません。昨年12月には、子どもに関する様々な政策の司令塔となる「こども家庭庁」の基本方針が閣議決定されました。複数の組織にまたがる縦割り行政の弊害を改善し、年齢による支援の切れ目を解消することが期待されています。目まぐるしく日々成長する子どもを中心に、家庭や行政が連携を深め、仕組みの隙間で取り残される子どもがないよう、寄り添い、繋がり合える社会づくりが大切です。年度末に近づく2月は、寒い日が続きます。新年に、「今年こそ」と何か新しいことに取り組もう、こんな1年にしたいと思い巡らせた決意が、寒さで億劫になりがちな頃です。子どもが保護者や保育者との繋がりの中で健やかに育つ、心と心が温まる保育の実現を目指し、「何もできなかった」と後悔しない次の年末を迎えたいと思います。 1/13 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)1/20 第26回理事会第19回運営審議委員会(桑田)事務局日誌 編集後記令和4年2月1日発行第691号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会

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