2021-2022
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―子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン―︻2021年度     臨床仏教研究所公開研究会︼共催:(公社)日本仏教保育協会・(公社)全日本仏教婦人連盟令和3年11月₃0日/東京グランドホテル 東京慈恵会医科大学学長  ヒトゲノム解読の意義とは「ゲノム・いのち・共生分子生物学が物語るもの」松藤千弥先生ゲノム・いのち・共生分子生物学が物語るものルにて、公益財団法人全国青少年教化協議会(以下、全青協)主催、公益社団法人全日本仏教婦人連盟および公益社団法人日本仏教保育協会共催による臨床仏教研究所公開研究会が開催されました。同3団体は、世界中で取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)やESD(持続可能な開発のための教育)などと理念を同じくしている「子どもたちに豊かな地球をつなぐキャンペーン」を展開しています。本企画は、その一環として開催されたものです。日仏保からは髙山久照理事長が出席しました。本会は開会挨拶により開始され、まず東京慈恵会医科大学学長・松藤千弥先生を迎えて、「ゲノム・いのち・共生 学が物語るもの」をテーマに80分間の基調講演が行われました。松藤先生は、研究職である研究医の中でも、病気の治療法や薬などを研究する臨床研究医ではなく、医学の発展に寄与するため、基礎医学を研究する基礎研究医にあたる医師です。いま新分子生物型コロナウイルス感染症予防のために世界で接種が進んでいるワクチンは「mRNA」(メッセンジャーRNA)を使った新しいタイプのワクチンとして知られていますが、このRNAや、DNA、ゲノムといったものは、松藤先生が専門とする分子生物学の中心的な研究内容とされています。休憩を挟んで、神仁氏(全青協常任理事/東京慈恵会医科大学附属病院SCW)による「東京慈恵会医科大学における"いのちのケア"の歴史」のお話があり、次いで、松藤先生と神氏による対談「科学と仏教の対話︱いのちの共生を考える」という流れで進行し、閉会しました。2つの大きな目的があります。なお、会場定員は30名までとされ、会場での開催のほかにインターネット上でも配信が行われました。松藤千弥先生は、分子生物学の立場から、ゲノムや進化について、またそれらをもとにした人間の心や行動の成り立ちについて、次のようなお話をされました。ヒトゲノムの解読は、21世紀に入った時にちょうど完了しました。ヒトゲノムの研究には、1つには、「医学や医療への応用」です。遺伝子治療や、IPS細胞を中心とした再生医学といったものに影響を及ぼし、多くの人の命を救うことにつながっています。もう1つは、「生命の理解」、そして生命の本質である「進化の理解」。ゲノムには生命の過去が刻まれていて、進化の過程を知る多くの手がかりがそこにあります。人や動物の行動が遺伝の影響を受ける例を考えてみてください。行動に異常をきたす遺伝病の例として、レッシュ・ナイハン症候群というものがあります。慢性劣性遺伝により、およそ気です。この病気は、自傷行為という特異な行動を引き起こし 主催:(公財)全国青少年教化協議会・臨床仏教研究所写真左:松藤千弥先生 右:神仁氏    令和4年2月1日発行10万人に1人の割合で起こる病11月30日、東京グランドホテ第691号(4)

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