はじめに仏教保育協会は会員制だった望家及び仏教保育事業の功労者)ロ、維持会員(年額拾円以上五ヶ年間継続寄附の篤志家)ハ、特別会員(年額五円を納める者)ニ、普通会員(年額壱円を納付する者)第七条本会に左の役員を置くイ、会ロ、副会長ハ、顧ニ、評議員ホ、理へ、主ト、委第四章職務権限及び任期第八条役員の職務権限は左のごとし会長は総会においてこれを推戴し会務を総轄し協会を代表す副会長は会長の委嘱により会長を輔佐し会長事故あるときはこれを代表す顧問は会長これを推薦し本会の諮問機関とす評議員は会長これを委嘱し本会の重要事項を評議す理事は特別会員中より会長これを指名し一切の会務を処理す主事及び委員は理事会の推挙により分担事務に当る第九条会長副会長顧問を除く他の役員の任期は二ヶ年とす但し再任を妨げず 若干名若干名若干名若干名―戦前編「仏教保育協会と各宗派との関係性(1)」―《日仏保の歩み⑮》佐藤成道 淑徳大学アジア国際社会福祉研究所リサーチ・フェロー/曹洞宗常仙寺副住職第三章会員及び役員 章 員事事 問 長 一 名二一 名名 第六条本会会員を別ちて左の四種とすイ、名誉会員(仏教界の名仏教保育協会の「はじまり」をめぐっては、解明すべき課題がいくつか存在しています。そして、それらを象徴しているのが、「1928(昭和3)年」か「1929(昭和4)年」かという協会の創立年に関する事例です。また、前回の11月号(第688号)で言及しましたが、1928(昭和3)年の7月と10月で、協会創立の公表が重複していたのはなぜか、仏教保育協会が御大典記念事業として創立したのはなぜか、といった設問もそのような課題に含まれます。これと同様に、3月号(第680号)で引用した青柳義智代の資金難に関する言葉も、今日に残された課題の一つといえます。戦前の資料が限られる中で、それらを解明する手掛かりが「仏教保育協会と各宗派との関係性」にあるのです。その糸口として、「協会役員」について数回にわたって見ていく予定ですが、今回は、まず仏教保育協会の会則をもとに役員体制についてお話ししておきたいと思います。仏教保育協会の役員は、1928(昭和3)年10月の発会式の頃には定まっていたと考えられます。しかし、その当時の会長と副会長の名前は判明しても、理事や主事、委員なども含めた役員全員の名前をはじめて確認できるのは、現状では、1931(昭和6)年当時のものです。「仏教保育協会と各宗派との関係「第3章 また、協会の会則についても、確認のできる最初のものは、同年になってからです。会則は全部で7章あって、役員に関する規程は2章分ありますが、分量としては全体のほぼ半分を占めています。なお、「仏教保育協会会則」の全文につきましては、今回からの性」という一連の話題のあとに、当時の原文を掲載しながらお話しする予定です。今回は、役員に関して書かれた会員及び役員」「第4職務権限及び任期」について、1931(昭和6)年1月改正の現状で確認できる最初の会則を転記します。ただし、原文は旧字体の漢字とカタカナが混在した文語体で書かれているため、旧字体は新字体に、カタカナはひらがなに変更するなどしてあります。和6年])となります。まず、第6条から見ていきますと、仏教保育協会は会員制だったことがわかります。会員には4種類あって、名誉会員以外は年会費を納めることが規定されています。ところで、普通会員は年額1円ですが、これは現在でいえばどのくらいの金額になるのでしょうか。1931(昭和6)年当時のお金の価値を2020(令和2)年の価格に変換して考えてみたいと思います。日本銀行が公表している企業間で取引される財(商品)の価格を示した「企業物価指数」で、明治時代からの変遷をたどれる「戦前基準指数」によれば、暦年単位での平均は、903・3倍(675・7[令和2年]÷0・748[昭もちろん、用いる指標によって計算結果は異なってくるので、あくまで参考数値ですが、当時の1円は現在の約903円の価値に相当することがわかります。切りがいいように、当時の1円を現在の900円としますと、年額で、維持会員が9千円以上を5年間、特別会員が4,500円、普通会員が900円になります。つまり、特別会員は普通会員の5倍もの年会費を納めるなど、会費の違いによって、会員の種別が異なっていたのです。ところで、日仏保の定款に関しましては、協会の公式ホームペー令和3年12月1日発行第689号(2)
元のページ ../index.html#66