2021-2022
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編集後記「子どもの貧困」減らす国民運動子ども本人や家族が「自覚がないため支援を得られない」「周囲の目を気にして支援を求めない」といったことから、〝子どもの貧困は見えにくい〟と言われています。ユニセフの報告書「COVID■19を越えて家族と子どもを守る:先進国における社会的保護」(2020年12月)によると、日本を含む先進国における「子どもの貧困」は、少なくとも今後5年間、新型コロナウイルス感染症発生以前よりも厳しい状態が続くと予想されます。しかし、報告書の調べでは、パンデミックによる社会的・経済的影響に対する各国政府の初期対応において、子どもや子育て世帯を支援するための財政支出は決して多くありませんでした。先進国の約3分の1は、明確に子どもの支援を目的とした政策を実施せず、実施した国々でも3か月程度の短期にとどまっています。日本では、2018年時点で、およそ7人に1人の子どもが貧困状態にあると報告されていました。そこにコロナ禍が加わり、一層の生活困窮が懸念されます。ようやく2014年に「子供の貧困対策の推進に関する法律」が成立し、教育支援、保護者の就労支援、生活支援、経済的支援を柱とした対策が進められるようになりました。これに次いで2015年にスタートしたのが「子供の未来応援国民運動」です。内閣府主導による国民運動プロジェクトで、企業や個人から募った寄付を全国の支援団体に提供する「子供の未来応援基金」のほか、企業と支援団体をつなぐマッチング、支援の輪を広げる広報活動などを実施しています。子ども支援と企業支援のより良いバランスを模索しつつ、子育てや貧困の問題に社会全体で取り組む姿勢が重要ではないでしょうか。東京オリンピックまで2か月を切り、その開催の可否で社会は揺れています。新型コロナ感染拡大収束の先行きと、この世界的イベント開催の運営を天秤にかけることは大変な決断です。振り返れば2年前、東京の私立幼稚園に「学校観戦プログラム」と称して、8月後半のパラリンピック観戦の希望聴取が文科省、東京都で行われました。そしてわが園も参加を申し込んだところパララグビー観戦の日程が送られて来ました。その時には教職員と「東京で是非見せてあげたい」という気持ちで申し込みました。そして引率対策の要点は「熱中症」でした。代々木国立競技場までのルートや移動方法、服装や持ち物など…。そんなことを考えていましたが、今はそこに「コロナ対応」が大きな比重を占めながらプラスされてきます。過日、東京都から観戦に関するメールも来ましたが、「そもそも観戦できるのか」論に話は変わってきています。オリンピック憲章には、スポーツすることの権利や自由について「いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」と示されています。パラスポーツはそのことを如実に表し、勇気を与えてくれるもので、「無常尊(みな尊い)」の仏さまの心ともつながるし、子ども達の心にもその姿は深く訴えるものがあるだろうと考えています。この文章が紙面に出る頃、はたしてそのご縁を頂けることとなっているでしょうか。 (五島)6/8 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)事務局日誌令和3年7月1日発行第684号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 桑田則行毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会

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