2021-2022
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小俣昌道先生を偲んで関岡俊二在りし日の小俣昌道先生を偲ぶ髙山久照公益社団法人日本仏教保育協会 参務認定こども園多摩みゆき幼稚園 理事長公益社団法人学校日法本人仏教寿保福育寺協学会 園 理理事事長長 小俣昌道先生は、永年「日本仏教保育協会」研究担当常任理事として勤められておりました。日仏保の研究活動において、現場の保育者、保護者、園長、保育養成学校の講師として学生等に幅広く講演活動をし理路整然と熱くお話をされておりました。先生は信念に満ちた持論を主張し、常にラジカルであられた印象を私は思っております。又、御自坊の浄土宗「行慶寺」住職として壇信徒教化に尽力され、境内にあった「行慶寺ルンビニ幼稚園」園長として子ども達の保育、教職員、さらに保護者教育にも卓越した能力を発揮し導いておりました。又地元の品川区にも多大な貢献を致しておりました。当時保育界は、幼稚園、保育園の幼保一元化が盛んに話題となり、議論が伯仲しておりました。そんな状況の中、先生は品川区に真正面から向き合い、当時としては先見的な幼保一元化スタイルの認定こども園「ぷりすくーる西五反田」を立ち上げ全国の注目を浴びました。まさに衝撃的な出来事であり、現在の「こども園」が全国に広まっているのは、この「ぷりすくーる西五反田」が先鞭となり、多くの園の見本となったのは小俣先生の御尽力と思います。先生は全てにおいて先進的な発想と意欲をお持ちの方でした。 先生のもう一つの思い出は、人脈の広さです。故上村映雄理事長先生の時代、仏教保育の振興を目的として文部大臣への表敬訪問を計画いたしました。当時就任したばかりの文部大臣町村信孝氏に直接お会いする事は容易ではありません。その時小俣先生が、「大臣は私の小・中学校時代の学友です。」との事で早速連絡をしてくれました。お陰で上村理事長はじめ数名で永田町の文部大臣室にて表敬訪問する事ができました。小俣先生の広い人脈のお陰でした。先生はその後も研究担当常任理事として日仏保を支えるご活躍をされておりました。7〜8年前頃突然病に伏され入院され驚きましたが、その後病気回復され再び日仏保の諸会合にて元気なお姿を見せてくれました。しかしこの度訃報を聞き、貴重な人材を失い無念の思いでいっぱいです。先生の残された日仏保への貢献と実績は、忘れる事のなきよう引き継ぐ事が大切と考えます。最後になりましたが謹んで先生の御冥福を祈念申し上げます。合掌小俣昌道先生が、去る令和3年1月6日にご遷化されました。平成7年より研究担当常任理事として、長きにわたり日仏保の運営に多大なるご尽力を賜りました。当時、私は事務局長として、ともに日仏保の運営にあたっていたのですが、小俣先生は常に教育・保育に対する最新の情報にアンテ ナを張り、事務局会議で私たちに熱心に話して下さったことが思い出されます。その豊富なアイデアと人脈で、それまで日仏保とはご縁がなかった方々も、研修会の講師としてお招きすることができました。常任理事を退任されてからも、参務として理事会等でご指導いただき、感謝に堪えません。平成24年9月、「第2期教育振興基本計画」に関する意見募集が実施され、その要請に応えるべく、事務局会議で執筆者を検討した際、小俣先生が適任ではないかという声があがりました。ご依頼申し上げたところご快諾いただき、文部科学省に意見書を提出いたしました。その意見書に書かれていた文章がとても印象的でしたので、ここにご紹介させていただきます。最後になりましたが、これまでの日仏保に対するご尽力に感謝申し上げ、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。「第2期教育振興基本計画への意見」(3)第681号生命尊重の保育推進の仏教保育の観点から、また地域に根ざした幼保一体の現場から、ご意見申し上げます。「第2期教育振興基本計画について(審議経過報告)第2部総論概要」にも示されているように、「我が国を取り巻く危機的状況」については、「少子高齢化の進展」や「非正規雇用の増大」等の「雇用環境の変容」に「震災の教訓」が大きく重なり、提起されている「4つの基本的方向性」の内でも特に、「絆づくりと活力あるコミュニティーの形成」に着目せざるを得ません。すなわち、「地域社会、家族の変容」と「豊かさの変容」の課題です。このテキストには経済成長と物質的な豊かさを求める、止まるところを知らない「欲望のエネルギー」への批判的な、反省的な思いが込められているのだと理解されます。依然として加速化される欲望の力に抗する、貪り(むさぼり)や痴(おろかさ)を克服する智恵が求められています。この度の巨大津波の猛威や原発の顕在化した危険に対しての、「自立・協働・創造」を今後の社会の方向性としてもたなければならないとの「総論」に共感するものです。歴史を支えてきた地域の文化、教育、子育てといった「世代横断的な社会資本」は、地域の伝統的な「祭り」や日常の「祈り」を通して「感謝」や「畏れ」の念をもって培われたものです。そこには「神社仏閣」に手をあわすこと、「巨木や自然石」に頭を垂れること、あるいは仏教的遺産を大切にする心の働きが、人類そのものの歴史の一部としてあります。学校教育のみでは培うことの難しい「社会を生き抜く力」を養うためにも、「地域作りの担い手を育成する観点」から、全国で「生命尊重の保育推進」にあたる「公益社団法人日本仏教保育協会」会員園は「心の教育」と「共生」に「協働」するパートナーの一員としてあります。最後に、東日本大震災は多くの教訓と課題を私たちに残しました。特に陸前高田市の「奇跡の一本松」は万人の心を大きく揺さぶっています。7万本の松の中でたった一本生き残った奇跡の一本松は、悲しみと苦しみのシンボルであり、不屈・復興の印であり、「ありがとう」「よく生きた」の祈りと感謝の「巨大モニュメント」として再建されようとしています。地域の人々にとっては勿論のこと、全国の老若男女の「祈りの場」としてあります。政教分離の論も承知しておりますが、このような伝統文化、自然への畏敬の念、生死へのかかわりが、家庭での教育力の再生と学校教育の強化に結合すると確信致します。公益社団法人日本仏教保育協会 参務東京都品川区・行慶寺ルンビニ幼稚園 園長小俣 昌道(掲載用に一部省略)令和3年4月1日発行

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