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舞踊を通じ仏教精神伝える鎌倉の寺で朗読会800回表彰式・祝賀会 同じく本賞を受賞した一般社団法人タンダバハダンスカンパニィ(中野真紀子代表)は、1926年に活動を開始。「タンダバハ」とは、サンスクリット語で、インドの音楽・舞踊の神様のことだそうです。仏教関連舞踊の創作・上演などを通じた長年にわたる教化と芸術性が高く評価されました。幼い頃に両親と死に別れ、仏門に入った創設者・賀来琢磨氏の人としての核には仏教思想があったといいます。仏教の精神をもって、児童舞踊を教え、また作詞・作曲や振り付け、指導者養成などに取り組んだのでした。年月を経て、賀来良江氏の代を迎え、その活動範囲は児童文化にとどまることなく、教育、芸術、国際交流へと発展しました。良江氏は、常に母国語の童謡で踊ることを大切に、児童舞踊の教育的意義を追求。国際交流にも力を入れ、「日本の心が感じられる」と好評を得てきたそうです。また、2018年には第35回全国仏教保育愛知大会において、「語り・歌・踊りで綴るお釈迦様の世界」を上演。六波羅蜜の教えとダンスを融合した作品「きょうのやくそく」を生み出し、実技講習会の実施、讃仏歌舞踊集の編纂など、仏教保育に数々の貢献を続けてきました。現在まで、琢磨氏、良江氏の親子二代より続く「継続・努力・くじけない」のモットーを受け継ぎながら、詩(言葉)・音楽(リズム)・身体の動き(舞踊)の三位一体を旨とする舞踊を通じて、子どもの心と身体の健やかな育成に向けて努めています。活動報告は、現代表・中野真紀子氏が行い、最後は2019年末に行われた公演「賀来良江追悼タンダバハダンスカンパニィの会」より、「荒城の月」「お釈迦様の世界」などの短い映像をスクリーンに映して活動を紹介されました。奨励賞に選ばれたNPO法人日本語の美しさを伝える会(伊藤玄二郎理事長)は、2005年より鎌倉・建長寺において開催されている親と子の朗読会です。美しい日本語に触れてもらおうと、建長寺(神奈川県鎌倉市)と、出版社・かまくら春秋社(伊藤玄二郎代表)が協力することで実現しました。当時、関東学院大学の伊藤玄二郎氏と、そのゼミナールに所属していた学生たちが、立ち上げや運営・指導等に関わってきたそうです。会の始まりには般若心経を唱え、坐禅を行って、禅文化に触れる機会を設けています。朗読作品は、日本文学から海外文学まで幅広く、やなせたかし氏や井上ひさし氏など著名な作家や俳優らもゲストとして登場し、名作を読み継いできました。東日本大震災後は、被災地にて出前朗読会も開催。また、海外へ出前朗読会に赴くこともあります。毎週土曜日に開催し、16年間で開催は800回を超えました。寺社・大学・地域の三基軸が子ども・若者・大人という多世代を結びつけ、素晴らしい文学作品を通して文化や伝統を伝えてきた活動が評価され、受賞に至りました。活動報告を終えると、会場を移して表彰式および祝賀会が執り行われました。本賞・奨励賞ともに表彰状・副賞が授与され、歓談の時間がもたれました。また、関係者・来賓からの祝辞を受け、受賞者がそれぞれ挨拶し、閉会となりました。最後に、中野真紀子タンダバハダンスカンパニィ代表から本紙に向けて、メッセージをいただきました。「お二人の長年の功績を評価していただき、非常に嬉しく思っております。琢磨先生が残したたくさんの讃仏歌、作詞、振り付けも、良江先生の『きょうのやくそく』も、楽しく歌い踊りながら、仏教の教えが自然と身に備わるように、との思いでつくられたもの。その思いを大切に、これからもお稽古や舞台、実技講習会など色々な場を通じて、しっかりと子どもたちの心と身体を育んでいきたいと思います」この度の正力松太郎賞を受賞された皆様、本当におめでとうございます。(7)第686号令和3年9月1日発行

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