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■第684号■はじめに平成時代に「1929(昭和4)年」という年時が定着化した背景《日仏保の歩み⑫》―戦前編「「1929(昭和4)年」という創立年の浸透⑵」―333333 3333  佐藤成道 仏教保育協会の創立の時期をめぐっては、「1928(昭和3)年」と「1929(昭和4)年」とい前回の6月号(第683号)では、昭和時代を通して両者が併存していたことを記しました。令和時代の現在は、今春にリニューアルされた日仏保のホームページに「昭和4年 御大典記念書かれていますように、「1929(昭和4)年」を仏教保育協会が発足した年時としています。昭和時代には、2つの創立年の混在が顕著でしたが、平成時代に入ると、日仏保でのある変化によって「1929(昭和4)年」という淑徳大学う2つの創立年が混在しています。事業として発足」(圏点筆者)とアジア国際社会福祉研究所リサーチ・フェロー/曹洞宗「1928(昭和3)年」と「1929(昭和4)年」の2つ(平成5)年5月の理事会で上村(第422号)と記されているよ年時が定着していくのです。昭和時代の機関紙では、の創立年が拮抗していましたが、平成時代になると「1929(昭めるようになります。この変化の背景には、1993映雄が新理事長に就任したことや、この6年後の1999(平成11)仏保創立70周年記念式典」が開催されたことがありました。初開催の創立記念式典を案内する記事では、「昭和3年11月にうに、「1929(昭和4)年」に仏教保育協会が創立されたとしています。和4)年」という年時が大半を占年11月に、創立記念行事として「日昭和天皇の即位大礼が執り行われました。その御大典を記念として翌4年に当協会は創立されました。(中略)そして、本年で70年を迎えることとなりました。」それまでは、機関紙で創立年に言及される頻度が概して数年に1回程度だったのが、記念式典までずれも「1929(昭和4)年」を創立年としていました。そのため、短期間のうちに「1929(昭目にすることになったのです。ところで、1999(平成11)年に創立の記念式典が開催された背景には、日仏保の創立70周年だけでなく、1969(昭和44)年に社団法人化されてからの30周年も同時に記念した祝賀行事として開催されていたことがあります。「1929(昭和4)年」を創立年とすることで、社団法人化の周年記念も併せて祝うことができたのです。そのため、社団化30周年という大きな節目が、「1929(昭和4)年」という創立年の浸透に少なからず影響を及ぼしたといえます。また、当時の上村は、理事長に就任する前年の夏期仏教保育講習会で「昭和3年、御大典記念339号)と話していたこともあ常仙寺副住職の1年間は5回以上にも上り、い和4)年」という年時を集中的に事業として発足以来、…」(第りましたが、理事長に就任してからは、基本的には「1929(昭して、折に触れて言及するようになりました。それに伴って、「1929(昭和4)年」という創立年に触れる機会も増え、この年時が定着化していくことになったと考えられるのです。さらに、その後は「昭和4年に537号、圏点筆者)などと、「発足」という文言と一揃いで言及されるようにもなりました。それらの多くは、当時の上村理事長によるものでしたから、必ずしも日仏保として一致した表現とまでは言えませんが、これは実に言い得て妙です。もちろん、この表現を用いるようになった真意を明らかにすることはできません。それでも、今回の引用に際して「発足」に圏点を付けたのは、「1929(昭和4)年」という年時を「仏教保育協会が本格的に事業を開始した」という意味合いで捉えれば、必ずしも間違いではないということを強調するためでした。つまり、「発足」という言葉は、「1929(昭和4)年」の仏教保育協会を物語るには絶妙な表現といえるのです。次回は、このあたりの実情について戦前に再び時を戻してお話を進めてまいります。和4)年」を創立や発足の年時と  昭和天皇御大典を祝して発足した…」「昭和4年発足、…」(第(1)第684号令和3年7月1日発行仏教保育2021.July7

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