202101
1/8

■第678号■公益社団法人日本仏教保育協会理事長 髙山久照新春のご挨拶新年明けましておめでとうございます。迎えた令和3年が、会員皆様にとりましてより良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。昨年来の新型コロナウイルス感染症の流行に、会員の皆様も感染症予防の対策で日々努力されておられることと存じます。園や養成校における生活様式にも変化が見られることでしょう。日仏保におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大をうけ、令和2年度の行事は計画通りの実施を見送りました。予測不能の状況の中、リモートによる事務局会の開催、参加自粛を呼び掛けて社員総会の開催、仏教保育研修会や夏期仏教保育講習会などは中止致しました。この様な状況下種々検討の末、新たにオンラインによる仏教保育研修会を実施する事とし、すでに第1回の研修会の配信をスタートしております。加盟園職員及び設置者向けの動画を年度内に3回配信致します。新しい試みではありますが、今必要な事業と考え実施に至りました。是非多くの会員の皆様にご活用頂きたいと思います。この度の感染症についての情報がまだ少なかった時期、子ども達は公園で遊ぶ事もできませんでした。遊具には遊ばないようにテープが掛けられる事もあり、遊び声に反応し子どもを怒鳴る大人もいたと聞きます。また、感染者に対する心無い差別の事例も報道されました。しかし徐々に情報が整理され、ここに来て「ウィズコロナ」や「コロナとの共生」という言葉を聞く機会が増えました。専門家によれば、人類は長い歴史において幾度となく新しいウイルスや微生物に巡り合って来たと言います。多くの場合はそれらを克服するのではなく、共生し今日に至っているのだそうです。ヒトの遺伝情報が解読され、全体の約半分がウイルス由来であることが分かっています。すでにヒトの進化においてウイルスとの共生がなされていたのです。新型コロナウイルスに対しても、正しい情報を得てその特性を理解し、共生の筋道を落ちついて考え、適切に対処していく必要があるのではないかと考えます。また、近年も地震や豪雨等の自然災害により貴い命が失われ、大きな犠牲が払われてまいりました。災害からの教訓をいかに生かすのかは、私達の大きな課題であり、更なる防災への取り組みが求められています。今年は東日本大震災発災10年目にあたります。徐々に復興の兆しが見られるとはいえ、まだまだ多くの課題が残っているのが現状です。震災後、現地での情報交換の折、「忘れられることが恐い。」と言われた被災地福島の園長先生の言葉が思い出されます。時間が経過しても、私達は災禍を決して「忘れない」という、被災者に寄り添う心が必要とされます。様々な状況の変化が起きている今この時も、仏教的精神をバックボーンとした保育とは、常に共存と共生を意識したものであるべきだと考えます。この仏教保育の立場からすれば、共存と共生を探求するという事が、すべての生命を慈しみ尊ぶ情操を育み、結果として持続可能な世界・子ども達の豊かな未来を創る事に結びつくものと考えるものです。本年もどうぞよろしくお願い致します。(1)第678号令和3年1月1日発行仏教保育2021.January1

元のページ  ../index.html#1

このブックを見る