編集後記子どもの肌はデリケート厚生労働省の患者調査をみると、10歳までの子どもの皮膚科受診率は、年々増加する傾向にあります。その背景として、地球規模の気候変動やヒートアイランド現象(都市温暖化)がもたらす気温上昇・乾燥化・豪雨といった環境問題の影響が指摘されるようになってきました。乾燥による肌荒れやかゆみ、猛暑や熱帯夜による日焼けやあせもなどが肌トラブルを増加させ、さらに感染症を媒介する生物の越冬や増殖が促されることで感染症が増加することも懸念されます。また最近では、新型コロナウイルス感染予防のためのマスク着用による接触性皮膚炎(マスクかぶれ)や、手洗い・消毒による肌荒れを起こした子どもの受診が多くなっています。ある小学生は、昨年3月頃から次第に手が荒れ、一時は手の甲や指の間まで血がにじむほどただれてしまいました。「指紋がなくなった…!」と思い、皮膚科を受診すると「アルコール消毒による肌あれ」と診断されました。子どもの肌はスベスベして、水分たっぷりのみずみずしい肌と思われがちです。しかし実際は、未完成なために皮膚が薄く、肌の水分量も低めで乾燥に敏感なのだそうです。そのためバリア機能が低く、少しの刺激でかゆみを感じたり、湿疹ができたりします。さらに、湿疹や皮膚炎などのかゆみを我慢するのも難しく、掻くことで症状を悪化させる「かゆみの悪循環」に陥りやすいといいます。かゆみを我慢することがストレスとなって、余計にかゆくなってしまうのです。「子どもの肌はデリケート」という認識をもって、肌を清潔に保ちながら、しっかり保湿して乾燥を防ぎ、子どもの肌を守る対策を心がけましょう。先日、文部科学省が公立小学校の1学級の上限を、現行の40人から35人に引き下げる方針を発表しました。この見直しは、1980年度に公立小中学校の全学年が40人に引き下げられて以来、約40年ぶりのことです。きめ細やかな教育を求める声が大きくなり、子ども一人ひとりの目線に立った保育の重要性も、同様に問われていると感じます。奇しくもここ最近、コロナ禍による「三密」回避を目的に、少人数での取り組みが多くの園で実施されています。新型コロナウイルスの新規感染者数はなかなか減少せず、保護者や近隣の方々を巻き込む形での行事の開催は難しく、中止や人数の縮小が避けられない現状です。園内で小規模にして行ったり、全体での発表をやめクラス単位に切り替えたりと、各園で工夫が重ねられていることと思います。今年度行われた行事では、例年以上に子ども一人ずつにスポットがあたったり、少ない人数の中で和気あいあいとした雰囲気が作れたりと、良い面も感じられました。ヒトは他者とのコミュニケーションなしには生存できないという観点から、乳幼児期の心や脳の発達のため、人との関わり合いの機会は重要です。「三密」に配慮すべき今こそ、子どもの目線に立ち、より良い形での取り組みを模索できるのではないでしょうか。( 桑田)1/15 「仏カリ」「仏教保育」編集会議事務局会議(WEB会議)事務局日誌令和3年2月1日発行第679号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 五島 満毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会
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