編集後記大人になった震災遺児「幸せに」1995年1月17日に起こった阪神淡路大震災。たくさんの人が亡くなり、また行方不明になりました。街に残されたのは、親を失った子どもたち──。あれから26年。一昨年の「あしなが育英会」機関紙上で、震災当時3歳だった兵庫県の女性が「天国の父に花嫁姿を見せる日が来た」と紹介されました。あしなが育英会の仲間や職員たちが見守る中で挙げた結婚式。一緒にバージンロードを歩いたのは、いつもそばにいて父親代わりになってくれた元職員でした。一般財団法人あしなが育英会は、病気や災害、自死で保護者を亡くした子どもなどの進学援助や教育、心のケア、学生寮の運営などを行う団体です。同会では、震災発生直後、がれきの街を歩き回って500人を超える遺児を確認しました。そうした子どもを支援するために、震災遺児ケア施設・レインボーハウスを開設。神戸を手始めに、東京、仙台、石巻、陸前高田に設立されています。こうした有志の人たちによって、震災直後の安全確保や生活の立て直しだけでなく、子どもたちがずっと生きていくための支援が25年以上続けてこられたのです。紹介された花嫁は、震災でがれきに閉じ込められ、とてもこわい思いをしました。レインボーハウスに通い始め、少しずつ元気に、そして活動的になっていったといいます。東日本大震災の折には、復興支援のボランティアにも参加しました。試練に打ち負かされず、のびやかに生きる彼女の姿は、被災した人たちにとって励ましになったことでしょう。阪神淡路大震災の遺児は皆、大人になりました。それぞれの人生を歩む中で、悩みは尽きないと思います。それでも…「花嫁さん、どうかお幸せに!」●新しい年が始まりました。まだまだ新型コロナウイルス予防に対しては予断が許せませんが、一日も早い収束を目指して、子ども達にも生き生きとした日常が戻ることを心より願います。●日仏保仏教保育研修会でも取り上げられたSDGsも、そのまま子ども達の未来に資するものであることを認識して、それぞれができることを取り組む必要があります。持続可能社会と子どもの未来と、その準備段階である現在は不二一体です。昨年一年の間で、乳幼児に関する事故や事件がどれだけ発生したことでしょう。持続可能な社会を作り、それを担う一員である子ども達の生きる環境を整えることなくして、未来はありえません。事件や事故はその子ども達の生きる生活環境の一端を表しているのではないでしょうか。●また日本には六百余りの児童養護施設があり、親からの虐待、育児放棄、孤児、家庭的、経済的な理由等で三万三千人ちかい子ども達が入所を余儀なくされ、日々の暮らしをしています。その子ども達も高校を卒業すると、その施設から出ていかなくてはなりません。現実社会の厳しさと社会の壁が彼らに立ちはだかります。そういうことも実は子ども達の生きていく社会の事実です。支え合いの環境不足と無力さを感じます。●幼児教育や保育は、人格形成支援、子育ての支援において、社会的に貢献する役割を負っているという考えが必要だと思います。色々と厳しさが増す社会となっていきますが、今年一年も先を展望しながら取り組んでまいりたいものです。事務局会議(五島)事務局日誌12/10 「仏カリ」「仏教保育」編集会議令和3年1月1日発行第678号(8)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 五島 満毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会
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