COVID-19)COVID-19のChildcare in a global crisis: The impact of COVID-19 on work and family life」)COVID-19)新型コロナウイルス感染症が世界中に猛威をふるい始めてから9か月が経過しました。しかしながら、いまだ感染が収まる気配はなく、新規感染者数や重症者数についての報道が続いております。日本では、令和2年4月16日に全国に向けた緊急事態宣言が発令され、休園する幼稚園も多くみられました。また、保育園や認定こども園でも、保護者に「登園自粛」を要請する等、乳幼児期に大切な経験が満足にできない日々が続きました。5月31日に緊急事態宣言が解除されてからも、新しい生活様式の中、感染予防をしながらの保育が続いています。また、ユニセフ(国連児童基金)が7月22日に発表した調査レポート『世界的危機の中の保育:仕事や家庭生活への影響』(原題:「ると、新型コロナウイルス感染症によって乳幼児期の子どもの保育や教育を担う施設が閉鎖されたことで、世界中で少なくとも4,000万人の子どもたちが、入学前の重要な年に就学前教育を受けることができなくなったということです。日本も含め、世界の貧困下の子どもたちは、その生活状況がますます悪化していることでしょう。コロナ禍と呼ばれる状況の中、子どもの権利保障等に関してOMEP(世界幼児教育・保育機構)が、世界理事会にて声明書を作成、発信いたしましたので、ここでご紹介いたします。によ各国政府は「子どもの権利」の成就を保障する立場にあり、地方自治体や地域の諸組織と協力して、子どもと家族を守り支援するために必要な政策を実施する義務がある。この支援において、幼児教育・保育は基本的な役割を担うものである。(UNCRC):以下「条約」とす乳幼児期は極めて重要である。各国政府は「児童の権利に関する条約(通称:子どもの権利条約る)」の理念に従い、子どもたちの保護と最善の利益に基づくよりよい生活状況を促進するための特別な手立てをとる必要がある。地球規模のパンデミックに支配されたこの時代において、子どもたちに対するさらなる危険が増している。このパンデミックはウイルスのみならず、巨大な人道的危機であり、貧困下、とりわけ極度の貧困で不平等な状態におかれている子どもたちは、その生活状況がますます悪化していることは自明である。例えば家族の死、恐怖、監禁、飢え、隔離、増加する暴力と虐待、遊びや運動時間の欠如、様々な情報機器の画面にさらされていること等は、子どもたちの命と発達に深く影響を与えるような結果をもたらすことがある。世界の乳幼児の生活環境や日々の生活にはかなりの多様性があるが、OMEPは、いかなる子どもたちも、その最善の利益、及びウェルビーイングを欠いてはならないことを強調するものである。•乳幼児は市民であり、各国政府は、教育・ケア・健康・経済・社会的支援の文脈において、彼(女)らの特別なニーズを考慮しなければならない。•乳幼児には「条約」の枠組みにあるような特別な手立てが必要である。一人ひとりの子どもには、自分に関するあらゆる事柄について自由に自分の意見を表明する権利があり、それについても考慮されなければならない。彼(女)らの考え・感情・見方・興味・要求は、伝統的な大人中心の考え方を乗り越えて、パンデミックの期間に開発された公的な施策・手法の枠組みにおいても考慮されなければならない。•パンデミックは、遊んだり運動したり仲間と関わったりする子どもたちにとって欠くことのできないニーズの大幅な制限や、家族を越えた社会的接触の減少をともない、乳幼児の日常生活に大きな影響と変化を及ぼしてきた。•子どもたちには質の高い幼児教育・保育への権利があり、そこには大切な大人やケア担当者・教師、そして仲間との安定した関係を保つことが含まれる。•乳幼児期の教育への権利は、誕生と共に始まり、そのことは、彼(女)らの可能性が最大限に発揮されるよう最大限の支援を受ける権利と繋がっている。このため、各国政府とその他の当事者たちは、目下の危機の中でも、豊かな機会を保障することで幼児教育・保育を強化しなければならない。•乳幼児は、多様な言葉・身体接触・他者とのコミュニケーションのための身体表現を用いながら、他の子どもたちや「大切な他者たち」と一緒に経験すること・遊ぶこと・探究することによって、学ぶ。•教育政策は、創造的で幅の広い提言・ストラテジー・支援材を通じて、幼児教育・保育を継続させることの重要性を考慮すべきで、また乳幼児の遊びや運動の必要性も考慮に入れるべきである。乳幼児は、長時間、情報機器の画面にさらされてはならず、ゆえにバーチャルな機器使用に関するケア担当者への勧告が配布されるべきである。•幼児教育・保育は、発達段階の特性に応じて、遊び、特に身体を使った遊びに焦点をあてた方法を開発する。それらは、体験すること・発見すること・環境を探索すること・自然および文化的な素材を自分たちの手で扱ってみること・他者と親密に交流することを通じた方法である。•幼児教育・保育の環境と内容の構成は、衛生習慣・栄養摂取や休息の場合と同様、多機能な活動によって特徴づけられる。そこでは、自由な動き・遊び・芸術的な表現・レクリエーションそして戸外の遊び時間を許容する様々な素材・玩具・備品が用意されている。•幼少期ならではの子どもと教育者、仲間集団との情動交流関係((令和2年10月1日発行第675号(4)
元のページ ../index.html#38