202011
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編集後記大気汚染が子どもにもたらす脅威WHOの報告書によると、「世界の15歳未満の子どものうち18億人(93%)が、健康や発達に深刻なリスクをもたらす汚れた空気を吸っている」のだそうです。汚染された空気に過度にさらされると、循環器系の慢性的な症状や、喘息、小児がんなどの疾患が引き起こされます。さらに、大気汚染を原因として、たくさんの子どもが亡くなっています。2016年には、60万人が大気汚染から急性下気道感染症をきたし、死に至りました。特に、5歳未満の子どもでは、10人に1人が大気汚染の影響で亡くなっています。呼吸回数が多く、また地面に近い空気を吸い込むため、より多くの汚染物質を取り込んでしまうのでしょう。余分な物質を排出する体内システムも、まだ未発達。5歳未満の子どもの健康にとって、大気汚染は大きな脅威のひとつなのです。低・中所得国では、5歳未満の子どもの実に98%が(高所得国では52%)、WHOのガイドラインを超えるレベルの微小粒子状物質(PM2・5)にさらされています。こうした大気汚染は、肺機能を損なうだけでなく、子どもの神経の発達や認識能力にまで影響を及ぼしかねません。ユニセフ(国連児童基金)から出された大気汚染についての報告書「子どもの脳の発達に及ぼす影響」では、世界の1歳未満児約1千7百万人が国際的な基準値を6倍上回るレベルの汚染された地域に暮らし、有害な空気を吸うことで、脳の発達が危険にさらされていると指摘されています。超微小粒子状物質は極めて小さく、血管を通って脳に到達し、脳細胞が損なわれて、認知的な発達を妨げる可能性があるとのこと。大気汚染は目に見えない脅威のひとつ。今後一層の注意を向けたいところです。香川県でゲームの規制条例をめぐって、17歳の高校生とその母親が高松地方裁判所に訴状を出しました。最近は年齢層問わず、ゲームの世界を巡っては色々な課題があるのですね。ゲームをする時間を制限する条例が提案されるくらいだから、相当時間を忘れてのめりこんでしまう、依存の弊害が背景としてあるのでしょうか。しかし菅総理が就任して、肝入りの「デジタル庁」の設置にまで社会は動こうとしています。この新型コロナウイルスの蔓延の影響も大きく、日本中、世界中がインターネットやオンラインでつながっていくような時代に向かっている中、ゲーム時間の制限に行政が取り組むことの意味や目的は何なのかということを思わされました。NHKの大河ドラマを見てると越前から京都に手紙が届くのはいったい何日かかるんだろう…とふと思う時、今のSNSや情報共有や配信の手軽さが当たり前になっている時代の利便性は、確かに人と人の生身のつながりの大切さすら忘れさせるのかもしれません。いよいよデジタルが時代に滲み入る中、おもちゃを取り合ってケンカをする触れ合い、工夫をして少しずつ積み上げる積み木の不安定さ、砂の感触を掌や指にいっぱいに感じる触感、そんなアナログの意味が幼児教育の中に見い出され、同時並行で進行し体験されることが大切になっていくのではないでしょうか。事務局会議(ウェブ会議)(五島)事務局日誌10/13 「仏カリ」「仏教保育」編集会議令和2年11月1日発行第676号(4)仏教保育綱領〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4TEL 03(3431)7475・FAX 03(3431)1519発行人 髙山久照 編集人 五島 満毎月1回1日発行 (1部300円税込)慈心不殺 生命尊重の保育を行なおう仏道成就 正しきを見て絶えず進む保育を行なおう正業精進 よき社会人をつくる保育を行なおうhttp://www.buppo.com/公益社団法人 日本仏教保育協会

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