202004
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■第671号■令和2年1月21日/大本山増上寺・光摂殿講堂国際社会共通の目標として、国連で世界中の人たちが合意したSDGs(持続可能な開発目標)。「2015年の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核をなすものとして、2030年までに目指すべき17のゴールが示されています。令和元年度第2回仏教保育研修会は、戸松義晴先生による「SDGsと仏教保育」についてのお話でした。抜粋してお伝えします。SDGsが目指す理念「誰一人取り残さない」Sustainable evelopment Goals」の略称であり、仏教と親和性の高いSDGs─2030年に向けて世界が合意した持続可能な開発目標─S令和元D年度G 第2s回仏と教保仏育研修教会 保育この胸のバッジは、SDGsに取り組んでいることを示す国連公認のSDGsバッジです。あとでお話しますが、全日本仏教会も昨年の創立60周年記念事業の中で「SDGsに取り組みます」と宣言をしましたので、このようにバッジをつけているというわけです。今日お話する内容をぜひ皆さんの〝仏教保育〟にも生かしていただければ…と、申しますのは、ある意味では、皆さんの日頃の活動をわかりやすいかたちにして名前をつけたものがSDGsだという見方もできるからです。「慈悲」「仏様の救い」といった仏教の言葉は一般の方に伝わりにくいところもありますが、SDGsで使われている言葉は一般語、さらには世界共通の言葉として伝わるものです。ご自身の活動を広く知ってもらうのにも、いい機会になるかもしれません。皆さんが日頃から保育に生かされている、仏教の心に基づいた「命を大切にする教育」についてSDGsを通して見直し、それぞれのお立場でかたちにしてもらえたらと思い、本日のお話をさせていただいています。SDGsは、2015年9月に国連サミットで採択されました。2030年を年限とする17の国際目標があり、その下に169のターゲットと232の指標が定められています。普遍性・包摂性・参画型・統合性・透明性というのが、その5つの特徴です。これからの社会を持続可能で多様性と包括性のあるものにすることを目指しており、そこで大事なことは「誰一人取り残さない」という理念。これまで国連が進めてきた開発は、開発途上国を対象とした社会開発・経済開発などです。ところが、先進国の中にも貧富の格差や取り残されていく人たちが出ているという現実があり、経済的に先進国といわれる国の中の問題にも取り組んでいこうとしていることがSDGsの大きな特徴となっています。仏教では、宗派による差異はあるものの、お釈迦様の「全ての生きとし生けるもの幸せであれ」という言葉や、仏様の救いは普遍的で差別・区別をしないということがあります。この意味でもSDGsは、非常に仏教との親和性の高い取り組みなのです。D(1)第671号令和2年4月1日発行講師 戸松 義晴 先生公益財団法人全日本仏教会事務総長国際医療福祉大学特任教授仏教保育2020.April4

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